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小説3「地獄の王」

第8章ー寮(3階、1番奥の部屋、作戦会議前編)
5,「第二都市は水の女神がいないから、自分たちで
雨水とか地下水とかで確保しないといけないのね。」

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・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。

この章では、これまでのことをアルテミスや主人公(私)の解説を交えながら、振り返っています。
解説は、この小説の中での説です。現在の実際の様子とは異なる場合があります。
・記事の最後に、偽の寮母さん(侵入者)ヒドル(攻撃者)について、まとめていますので
参考にしてください。

目次

キングからの差し入れ

寮母さんに化けた異星人=侵入者

写真に写っている4人

ヒドル

「みんなは、校舎の中に入った時に何を見た?」

「第二都市は水の女神がいないから、自分たちで雨水とか地下水とかで確保しないといけないのね。」

次回

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キングからの差し入れ

和室に行くと、2つの座卓が縦に並んでいる。
その上には、キングからの様々な種類のオードブルが入った箱、握り寿司の入った箱、お菓子の
入った箱が並んでいた。それらの間に、アルテミスが持ってきたローストビーフやシュークリームなどのお菓子が置いてある。
各席に1組ずつの小皿と箸やフォークなどが置かれ、隣の部屋から持ってきたワイングラスと水の
入ったグラス(中身はもちろんバッカスの酒とオフィーリアの水)が、所狭しと並んでいる。

私とアルテミスが浴室のある方の壁を背にして座ると、時計回りに
私の隣が、副隊長、アオバ、ヨシツネ、タガメ、藍白
角を曲がって、ナナ、オフィーリア、ミミ
角を曲がって、ニッカ、ランチャー、リボルバー、マーズちゃん、トカレフ
座卓の合わさった部分を境にして、ローズ、ヒマワリ、フローラ、ヒアキッソス
角を曲がって、サイケ、バッカス、ハピラキ
角を曲がって、メロディーが座った。
(下記のイラストを参照)

和室の座卓の座った位置

寮母さんに化けた異星人=侵入者

誰も箸やフォークを手にしようとせず、じっと私とアルテミスを見ている。
「えっと、食べながらでいいので、聴いてください。」
と言うも、誰も手をつけるものはいない。私は気にせず続けて
「えっと、銀河連合では、寮母さんに化けた異星人を侵入者と呼んでいます。で、侵入者はいきなり攻撃するのは稀で、だいたい2、3年・・4、5年が多いかな、もっと多いのだと百年とか千年単位で
その星のことを調べます。で、調べ方はいろいろなんだけど、主なのが、偽の寮母さんみたいにその星の人に化けること、もしくは、その星の人たちの姿に似ていたら、その星の人として暮らす、とかします。で、ここからは私の推測になるんだけど、排水溝の中の死体が」
「ええっ!! あれ、排水溝でしたの?」
とオフィーリア、彼女の部下たちだけでなく他の者たちも驚いた表情
「えっ!? 違うの? 私はてっきり排水溝か、もしくは下水道? まあいいや、それは後で説明してあげる。えっと・・あっ、その水の中の死体が腐ってなかったので、たぶん、殺されてからあまり日が経ってないんじゃないかと思って、えっと本物の寮母さんは、たぶん、昨日の昼ぐらいまで生きてたんじゃないかなって思うの。で、その侵入者はどこにいたのかっていうと、ここ? この部屋にいたんじゃないかなって、滝口先生が言ってたように(8章-2)2年ぐらい前からここに住んでいたんじゃないかなって
で、さっきの写真」

4人の写真

この"写真"について、もっと知りたい方は、こちらをクリック

写真に写っている4人

私はアルテミスから写真をもらい
「この4人って(今と比べると)若いじゃない、20代初めぐらいかな? ケイトさんは30代?」(主人公の見解です。)
「そうね。」とアルテミス、他の人たちもうなずいている。
「で、さっきも言ったように侵入者って何年もかけてその星のことを調べるのね。で、この2人は
村の人や第三都市の人にきいてみないとわからないんだけど、この星のことを調べてた人じゃないかなって」
「侵入者じゃなくて、かよ?」とマーズちゃん
「侵入者はあの偽寮母さん、で、この2人は頼まれて村とかを調べてた人? じゃないかな・・で、あの村の居酒屋でケイトさんと知り合いになって・・この星のことをいろいろ教えあったりしたのかなって」
「よく知ってたもんな、子供がどこで遊んでいたとか。」とバッカス
「で、私が重要だと思っているのが、この写真を撮った人。調べてみないとわからないけど、撮った人がわかれば、この時、この4人がどうだったか、わかると思うんだよね。どう言った話をしてたとか・・で、あのイモ虫は、3ヶ月前の隕石に乗ってやって来たのかなって、あれって思いだしたんだけど、古代のケニヤック星のライガ? ガイラだっけ?」と言ってアルテミスを見る。
「ヒドルトラピウカリグ。」
「えっ!?」と私
周りから笑い声が漏れる。

ヒドル

アルテミスが続けて
「銀河連合では、ヒドルと呼んでいるわ。後から来て星を攻撃するから銀河連合では攻撃者と呼んでいるんだけど、ヒドルはまあ蛾の大きいものと思ってもらっていいんだけど、たぶん3ヶ月前の流れ星に
乗っていたのね。1ヶ月ぐらいで卵から羽化するんだけど、とても臆病なの。だから、この部屋の中で飼っていたんだと思うんだけど・・昨日、お昼に地獄の穴が空いたでしょ。で、その時ここで降魔術が行われてて、その2つが同時に来たもんだから、ビックリしちゃって廊下や下駄箱の人たちを跳ね飛ばして」
「それで、あんな風に倒れてたんですね。」とアオバ
副隊長やヨシツネ、トカレフたち、藍白もうなずいている。
(みんな気づいてはいたんだ。)と思いながら、私はオフィーリアの水を口にする。入浴後の喉の渇きにちょうど良い。
私が飲み始めたので、やっと、みんな水やお酒の入ったグラスと箸やスプーン、フォークを手にして
関を切ったように食べ始めた。
アルテミスもお酒を1口飲み
「それでヒドルは、3ヶ月ぐらいで蛹(サナギ)になるんだけど、その時に自分の体を繭(マユ)
覆うのよ。それでたくさんの糸が必要になるわけ。」
「服を剥ぎ取ったのは、あいつだったのか・・・。」とマーズちゃん、トカレフたちもうなずく。
「あれだけでは、足りなくないですか?」と副隊長
「そう、だから、もし、あの時あなたが見つけなければ、私たち今ごろ服を剥ぎ取られてたかもよ
ね・・澪ちゃん。」とアルテミスは私を見て、ニコリと笑う。(早くも酔ってんのかな?)
「それで大きくなったら、どうなるんですの?」とフローラ
「大きくなって食べるものは人間、だから成虫になる前に殺さないと未来はないわね。」
そう言うとアルテミスは肘をつき、もう1度ニコリと笑う。
私以外の全員(恐らく)が、背筋に寒気が走り
「やだ、こわーい。」とローズ
ヒアキッソスが青い顔で
「後、1ヶ月したら・・・。」
「結局、良かったじゃねえか、降魔術が行われて、地獄に穴が空いて、だから、地獄姫が部下を伴って来たんだろ。」とバッカス
(バッカス、早くも酔ってるな。)と思いながら私は
「アルテミス、隕石1個につきヒドル1体なの?」
全員の手が止まり、アルテミスを見る。
「んーそれがね・・そうともいえないのよ。C地区に落ちたでしょ、今あそこに行くのは危険でしょ。
だから、銀河連合の人に頼んで調査をしてもらっているの、C地区ってすごく広いのよ。」
「へぇー。」と私
「良かった。」
部下たちから安堵の声が出る。

「みんなは、校舎の中に入った時に何を見た?」

オフィーリアが
「澪ちゃんはどうして、あそこにイモ虫がいるってわかりましたの?」
「あーえっと・・・(なんでだっけ?)あっだから、夕べって亡者は学校の中に入ってた?」
「いえ、入ってないっすよ、あっ、だから」とアオバ
副隊長とヨシツネもうなずいている。
「うん、だから学校の中に入ったら、下駄箱は倒れているし、壁や床には血が飛んでいるし
(由美ちゃんのことは言うべきか?)
「なんですの?」
オフィーリアにフローラ、他の女神たちに部下たちも同じように、私に注目している。
私は仕方ないなと思いながら
「みんなは、校舎の中に入った時に何を見た?」と、再び同じ質問をしてみる。
「それ、風呂場でも同じ質問をしてたよな。」とバッカス
私とアルテミス以外が「う〜ん・・・。」と思い出そうとし、私は握り寿司に手をのばし、その横でアルテミスはローストビーフを口にする。
「何も見ていませんわ。」とオフィーリア、その部下たちもうなずいている。
フローラが
「見てはいませんけど、空気が変わったのはよくわかりましたわ、明るくなりましたもの。」
と言うと全員が、しっかりとうなずいている。
私は学校のパンフレットを座卓の上に広げ、口の中の握り寿司がなくなると、赤ぺんを取り出し
「由美ちゃんが、こっちからこっちに向かって全速力で走って行った、私の前を。」(5章-4、下記の
イラストを参照)
全員が、ポカンとした表情になる。
「幻覚なんだけど」と言い添えるも、まだポカンとしている。しょうがないので続けて
「で、何かに追われているように後ろを見たりしていたから、あのイモ虫だと思うんだけど、その時
由美ちゃんの右手は、まだあったから、この左側(客や職員専用の玄関口に丸をする)で、何かあったんだと思う。」

和室の座卓の座った位置

学校の1階の見取り図です。赤い線は、主人公が赤ペンで書き込んだところです。
2024年4月8日、更新しました。

「第二都市は水の女神がいないから、自分たちで雨水とか地下水とかで確保しないといけないのね。」

「だから右腕を捜さないといけないのね。」とアルテミスがパンフレットを覗き込む。
「そう、で、由美ちゃんの遺体が排水溝の中にあって、右腕がなくて他の遺体と同じ裸だったから
何かがここに運んできたんだと思って、で、その何かはどこに行ったのかと考えたら、この下に隠れているんじゃないかなって、で、排水溝の話に戻るんだけど、第三都市や王宮はオフィーリアやトリトンがいるから、水はどこでも出てくるし使い放題なんだけど、第二都市は水の女神がいないから、自分たちで雨水とか地下水とかで確保しないといけないのね。それには、雨は空から降ってくるから高い所に
貯めて、それを水道の蛇口まで流して、で、使った水は地下に貯めて、で、その集めた水が集まるのが
あの虹池で、A地区に川となって流れていたんだと思う。で、私があの寮母さんをおかしいと思ったのは、貯水槽だって言いながら床下へ案内するから、私は階段でどこか上の方に行くんじゃないかなって思っていたのに・・最初はそういうもんなのかなって思っていたけど・・・。」
「私、恥ずかしい。」と、オフィーリアは両手で顔を覆う。
「姫、私たちも同じです。」
部下たちが、慌てた様子でなぐさめる。
「今度、校長先生か市長さんに学校や街の水道がどうなっているか教えてもらったらいいよ。
で2回目は・・自分で見つけたんだっけ?」
「外に出るのは危ないので、厨房の水道に姫が直接、力を与えたんです。」と藍白
「結局あいつ、偽物だから、よくわかってなかったんじゃないのか? 水を出してくれっていうのは
あいつが言い出したんだから、自分も一緒に別のルートを探すのが筋なのに、俺の横で「そうですね」ってのん気に答えたりしてよ・・・。」とバッカス
「その時におかしいって見抜かないとだめね。澪ちゃんが気づいてくれたから良かったけど・・・
後からだと、いくらでもおかしい所は見つかるんだけど・・。」とアルテミス
「チェッ!」と、バッカスが、きまり悪そうにする。
「だから、おかしいなって思ったことを、そのままにせずに、その場でもいいし動きながらでもいいから、じっくり考えることが重要なんだと思う。」と私
「あそこから、しばらく動かなかったもんな。」とマーズちゃん

 偽の寮母さん(侵入者)について

 ヒドル(攻撃者)について


話の進展により、新しい事実が出てくると変更になる場合があります。

 追記:用語集としてヒドルについてのページを新しく設けました。
 良かったらご覧ください。

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次回
第8章ー寮(3階、1番奥の部屋、作戦会議後編)
6,「空気が変わりましたでしょ、あれって邪悪な力がなくなったからだと思いますの。」

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