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小説3「地獄の王」

第5章、第二都市4ー校舎(下駄箱周辺)
「空気が、変わりました。」

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この部分の文章は、主人公が見ている幻覚です。

()の中の文字は、作者による注釈です。

こちらのページには、グロシーンが書かれています。
血が苦手な方はnoteの方をお読みください。
(リンク先をクリックすると、noteの小説の該当ページに移動します。)

()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。
青色の文字は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。

目次

校舎

校舎内での幻覚

次回

2024年 4月 6日、更新しました。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

校舎

学校の1階の見取り図です。

校舎の入り口に立ち、あらためてその建物を見上げる。
所々ガラスが割れ、血のついたカーテンが風にはためいている。中は、2、3箱の下駄箱が横倒しになり
その間から血溜まりが見えている。
 私以外の女神たちは不安そうに校舎を見上げ、その部下たちが
「大丈夫ですか?」
と心配そうに声をかけ、手をつないだりしている。
大量殺戮のあった現場なので不穏な空気が漂い、殺された生徒たちの悲鳴や息遣いが残っているのだろう。
(私は全然感じないけど…)校長先生や私の部下たちも不安な目で見回している。戦っている時は
必死だったので、それどころではなかったから…あらためて凄惨(せいさん)な現場を見て、不穏な空気を感じ取っているのだろう。
校長先生は私たちの方を振り向き
「えー…ちょっと案内できる状況じゃないので…」と言い淀んでいると
左手の校舎の方から、茶色い目にメガネを掛け、肩にかかるぐらいの茶髪のストレートを揺らしながら
ピンクの赤い柄が入ったカーディガンに白いシャツ、紺のスカートをはいた20代後半の女性が「校長ー!」
と言いながら紙の束を持って走って来た。よく見ると手に持っているのは学校のパンフレットで
カーディガンの赤い柄は血のしみだ。
校長先生は笑顔になり
「おぉー! 咲子くん。ありがとう、助かったよ。」
と言って、女性からパンフレットの束を受け取り
「えー事務と図書室の司書をしてもらっている木花咲子(このはな さきこ)君です。」
「初めまして、木花咲子です。」と女性が一礼する。
「素敵な名前ですこと。」とフローラ
木花さんは頬を赤らめ
「失礼します。」
と言って再び、元来た方向へ走って行き、さらに校舎の角を右手に曲がっていった。
(あっちに何があるんだろう?)
校長先生は笑顔で「さあ、どうぞどうぞ。」と言って、パンフレットを配っていく。
私はさっそくパンフレットを開き(来賓や先生用の出入り口か…)

  

学校の見取り図(新しいパンフレット用)

主人公が見ているパンフレットの図と説明文です。

校長先生はパンフレットを配り終えると
「それじゃ先に寮の方へ、まだあまり片付いていないとは思いますが、早くお休みになりたい
でしょうし…」
と言って、再び前を向いて歩き出した。その後ろから私を先頭についていく。

校舎内での幻覚

あらためて中に入ると、壁にいくつもの大きな血のしみが広がり、床の所々には肉の塊らしきものが
血溜まりと共に散らばっている。

私は校長先生の後について、ほとんど横倒しになっている下駄箱の間を通って、1段上に上がっている
廊下に足を踏み入れたところで、

女生徒が右の奥の方(教室がある方)から全速力で走って来るのが見えた。
女生徒は、上は白、下はワイン色の袴姿で、赤いリボンでポニーテールにした背中の中程まである
明るい栗色の長い髪を大きく振りながら、何かに追われるように時々、後ろを見ながら、私の前を通り
左の廊下の奥へと駆けていく。

幻覚なのだが、女生徒の激しい息づかいまで聞こえる。何か事件に関係することらしい。
(やっぱり校舎の左側が気になる。)とパンフレットを開けようとして気がついた。
校長先生がいつのまにか振り向き、じっと私を食い入るように見ていることを…
「どうしました?」と私
「空気が、変わりました。」と言って、顔を上げ天井や廊下を見回す。
(それ、さっきフローラにも…。)
「変わった?」
私は振り返り、後ろの部下たちや女神たちを見る。
周囲をキョロキョロ見回していた女神たちや部下たちは、私に顔を向け一斉に全員がうなづいた。
(うーわからない、だから、どうだっていうの? 自分についてわからないことは、どうでも
いいことなのだ。それより、この廊下の左の奥が気になる…。)

校長先生は「まあ、いいか」といった表情で
「じゃ、こちらへ。」
さらにその奥の、渡り廊下へ向かって歩き出した。

次回
第5章、第二都市5ー渡り廊下、寮(食堂)「おっ、なんかあったぜ。」

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