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小説3「地獄の王」

第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
2,「異星人に体を乗っ取られたら、
何か違いはあるんですか?」

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・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈です。

目次

「いつから音が聞こえ始めましたか?」

「異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」

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「いつから音が聞こえ始めましたか?」

イラスト

寮の3階、1番奥の部屋内の見取り図です。
下に書かれた1と4の数字は、前回の部屋決めのくじの時(8章-1)
主人公が割り振った数字です。(2023年9月29日、編集しました)

「決まりましたか?」
と言いながら、校長先生が大きな長方形の箱を持って入って来た。
その後ろから、滝口先生も同じくらいの大きな箱を持って入って来ると
「まぁ!なんて事!」と驚いている。
その後ろから、黒いレースの付いたつばの広い帽子に、閉じた黒いパラソルを手に持ち、黒いレースのフリルがついたドレス姿のアルテミスが、にこやかな笑みを浮かべて入って来た。
「あっ、アルテミス様!」
部下たちが驚いている。
「ヒュー。」とバッカスが口笛を吹く。
アルテミスの後ろから、市長がいそいそと、アルテミスの大きなスーツケースを持って入って来た。
その後ろから都市の男の人が得意気に、校長先生や滝口先生と同じ長方形の箱を持って入って来る。
さらにその後ろから、エルザたち3人組が入って来て
「うそっ!」
「そんなっ!」
滝口先生と同じように驚き、部屋の中を見回している。
アルテミスが、にこやかな表情で
「キングからの差し入れよ。」
「あっ、じゃあ、このテーブルの上に置いて下さい。」
私はその上を片付けながら指し示し、校長先生たちが次々と積み重ねていく。
エルザが
「あなたたちの誰かが、出したんじゃないの?」
「出していませんわ。」とフローラ
私と他の女神たちもうなづく。(キングならできるけど…。)
「いつから音が聞こえ始めましたか?」とヒアキッソス
「えっと、あれは・・。」と、エルザは思い出そうとし
「けっこう前だよね。」とスカーレット
滝口先生が
「クリスマスパーティーの後だったかしら? あっ、そうそう2年ぐらい前のクリスマスパーティーが
終わった後、あの階段を上がっていたら・・他の部屋の子たちはパーティーの後みんな家に帰ってて
だから、おかしいと思ったのよ。」
と、うなだれる。
「あーそれぐらいですね、私が生徒たちから苦情を聞いたのは、物音がするって・・。」と校長先生
「話し声もするって言ってたわ。」とはるか
「あの寮母は、いつから勤務していたんですか?」と藍白
校長先生がつらそうな表情で
「もう10年ぐらいになりますか? うちの元生徒なんですよ、頭の良い子で生徒会長もしたことが
あって、なのに・・・。」
(校長先生の元教え子か・・)と思いながら、私は1番上の箱の蓋を開ける。
中にはお菓子が入った袋が30個ほど、底が見えないほどビッシリと隙間なく入れてある。
(これキングのセンスじゃないな、リリスかな? クリスさんかも・・。)
バッカスも横から覗き込み
「あいつにはないセンスだよな、クリスに頼んだんだぜ。」
「だよね。」と言いながら私は、その中の袋を1つ取り出し
「良かったらお菓子、1袋ずつ持って帰っていいよ。」
「やったー!」
エルザたちは手を叩いて喜び、さっそく滝口先生と「どれにしようか?」といった感じで、笑顔で
箱の中を覗き込み品定めを始めた。
「私たちもいいですか?」と校長先生
「どうぞ。」
箱を持って来た都市の男の人と体育教師、上は薄いグレーに下は青色の無地の袴姿の男子生徒も
覗き込み、笑顔で1袋ずつ取っていく。
その後ろでは、校長先生が部下たちに鍵を渡し
「大浴場が、この1階の厨房と機械室を挟んだ左右両脇にありまして、(主人公たちがいる部屋から
見て、下記イラストを参照)
左手が女性、右手が男性になります。」

寮1階の見取り図3

寮の1階の見取り図です。
下側の左右に大浴場、右上に寮母室があります。

「異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」

先程の男子生徒がテーブルの前に立ち、アルテミスの方を見て
「あの教えて欲しいんですけど、異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」
全員が、男子生徒に目を向ける。
アルテミスは、にっこりとほほ笑み
「もちろん、性格も、行動も、着る洋服も、全てが変わるわ。でも、顔と体は本人だから、おかしいと思った時点で怪しまないとだめね。」
アルテミスの星が煌(キラメ)く瞳に見つめられ、男子生徒は頬を赤らめながら
「あ、ありがとうございました。」と頭を下げ、
エルザたちに
「高森くん、すごーい。」と言われながら、彼女たちと共に部屋を出て行った。
その後に続いて、市長さん、都市の人、教師たちが頭を下げ、次々と部屋を出ていく。
最後に校長先生が
「それじゃ、私はこれで、そこの階段を下りた横の、突き当たりから2番目の寮母室(1階の見取り図の右上)におりますので、何かあったら声をかけてください。」
と言って出て行った。

私は、部下たちの方を見て
「明日の計画を話したいので、今から2時間後、でいい?(女神たち全員がうなづく。)ここに集まってください。」
「了解です、隊長!」とアオバ。ヨシツネもうなづく。
「それでは、2時間後に」と副隊長は言って、私の部下たちは出て行った。
「それでは、失礼します、姫。」と藍白。
タガメ、サイケ、メロディー、ヒアキッソスとヒマワリも、次々と自分の女神たちに挨拶をして出て行く。
「お前らも帰れよ。」とマーズちゃん
「えー!! 私たち、マーズ様のお背中を流したいのに・・ダメですか?」とトカレフ
「うん、ダメだ。」
「えぇー!!」
「さ、ナナとミミもお帰りになって、疲れたでしょ。」とオフィーリア
「姫、私たちもお背中を流したいのです。」
「さぞかし、長旅でお疲れでしょう、と思いまして。」
フローラはローズに、バッカスはハピラキに、似たようなことを言っている。
私はアルテミスに
「お風呂に行こっか。」
「そうね。」
と言いながら、浴室の方へと歩いて行った。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

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第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
3,「地獄姫を捜してたわよ。」

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