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小説3「地獄の王」

第11章、第二都市(寮の3階、1番奥の部屋と二人部屋)
2,「この星の警戒レベルを、5に引き上げました。」

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Lv5とA Rocked World

・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。

この章では、ショッキングなシーンが登場します。
前回と同様、登場人物たちの声や動作で表現しており、『非表示』にした部分はないので
気の弱い方はご注意ください。大丈夫な方は想像してください。

以前noteの方に、「noteの総ページ数が20ぺージを超えました」という題名で
「寮の機械室の下から、あるものが見つかり状況は一変します。」と書いたのですが
実際に一変するのはこの章から、のようです。
気になる方は、ご覧ください。(上記のリンクをクリックすると、noteの該当ページに移動します。)

目次

レベル5とその原因

ライガについて

二人部屋の中と、ソウイチロウが言ってた面白い物

第三都市の状況について

次回

2024年 2月27日、更新しました。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

レベル5とその原因

寮1階と3階を合わせた見取り図

寮の1階と3階を合わせた見取り図です。
登場人物たちは、右上の二人部屋の周辺でいます。

「キング、ありがとう。」と、私は礼を言う。
「お、おお、って、お前は何を・・腹が減っとるのでは、なかったのか?」
「中を見てから。」
階段の方から、アルテミスが上がって来たので
「アルテミスが、話があるって」
「もう、ひどいわね。」とアルテミス、顔は笑っている。
その後ろから、市長さんがついて来ている。
校長先生も再び上がって来たので、私は
「校長先生、都市の人たちや学校の人たちは、みんな中庭に行きましたか?」
「えっ!?・・あっはい、私は、みなさんが来ないので・・・。」
「アルテミスから話があるそうなので・・・。」と私が言うと、アルテミスは深呼吸をして
「こちらの部屋(上記の見取り図の3)の窓枠に付いていた液体を調べた結果、ライガの唾液と判明しました。よって、銀河連合により、この星の警戒レベルを5に引き上げました。」
(液体の経緯(イキサツ)については、第8章-9の3を参照してください。)
「え、ええー!?」とみんな
「なんだと!」とキング
「レベル5っていうのは、宇宙船がこの星に来ることを禁止する、ってことなんだけど・・・。」と私
「それぐらい知っとる!」
市長さんと校長先生も
「ええ!?」と驚いている。
私は続けて
「で、そのレベル5になった原因のライガというのが、人喰いイモ虫って言われてて」
「人喰いイモ虫・・・。」と、キングが頭を抱(カカ)えている。
「たぶん、寮母さんに化けた異星人が、2年前に連れて来たんだと思うんだけど、卵から孵(カエ)って蛹(サナギ)になるまでに2年ぐらいかかる。で、人間を食べるのは、ずっとじゃなくて蛹になる前だけなんだけど、それがこの結果なのね。」と二人部屋の中を指差す。
「それで今は、人間を食べた後、どこかの地下に蛹で眠っていると思う。で成虫になると1mぐらいかな?」
「そうね。」とアルテミス
「羽を広げると5mぐらいになって、その星の人間を食い尽くすようになる。」
「退治はできぬのか?」とキング
「できるよ、できるけど、できたら蛹の時に殺したい。成虫になったら被害が大きくなるし難しくなる。」
「うーーーん・・・・・。」とキングは考え込んでいる。

ライガについて

校長先生がアルテミスに
「あの、蛹から成虫になるまで、どれぐらい、かかるんですか?」
「3ヶ月です。」
「そんなにですか! だったら、早めに見つけて殺せば・・・。」と市長さん
「そうですね・・(私に)死体の様子から見て、それほど日数は経ってないんでしょ?」
「うん。」
私は部屋の中を覗き、私の部下たちも覗き込んでいる。
「木は、消化を助けるためって。」とバッカス
「うん、人間だと、なかなか消化しきれないので、木をたくさん食べる。だから木のベッドだけなくて
鉄のベッドだけがあった。」
「ええ!?」
校長先生が驚きの声を上げる。
「本当ですわよ、私たちのお部屋、ベッドが2台しかありませんの。」とナナとミミ
「こっちは3台しかない。鉄のベッドが」とヒアキッソス
「こっちも。」とサイケ
「こっちは、5台ある、鉄のベッドが」とトカレフ
「ええー!?・・・・。」
校長先生は、開けてもらったナナとミミの部屋を見て絶句している。
(各部屋の状況については、8章-9を参照してください。)
「で、これは良い話なんだけど、並木道の木が今も枯れてないから、この辺に蛹はいないと思う。蛹になったら、土の中の木の根っこから養分を吸い取っていくから、その周囲の森林も枯れていく。だから
市長さんと校長先生は、都市の人たちに木が集団で枯れている所がないか、あれば私たちに言うよう伝えてください。それが蛹を見つける手がかりになるので・・・。」と私
「どれぐらいの大きさとか、枯れる範囲がわかれば・・・。」と校長先生
アルテミスが
「どれぐらいの大きさか、というのは、ちょっと言えないわね。山全部が枯れることがあるから・・・
周りの木は元気なのに、その内側だけ枯れている所があったら、ちょっと怪しいわね。」
「わかりました。」
校長先生と市長さんがうなずく。
1階の出入り口の扉が開いて
「校長、市長、食べましょう!」と、体育教師が大声で呼びに来た。
「まだ、ちょっと部屋の中を見たいので」と私が言うと
「わかりました。」と言って、2人は階段を下りて行った。

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二人部屋の中と、ソウイチロウが言ってた面白い物

寮3階、二人部屋の見取り図

二人部屋の見取り図です。
2024年 4月 12日、編集しました。

バッカスが、二人部屋の中を覗き込み
「あの、ここ(3階の手すり)にいたやつらって、こいつらだったのか?」
(前回11章-1「犠牲になった女性たち」)
「うん。」と私
ソウイチロウが入って、鼻歌まじりで歩き回る。
アオバやヨシツネも入った。
副隊長は出入り口に立って、天井から床までじっくり見回している。
その後ろからルナの部下たちも、今度は落ち着いた表情で覗き込んでいる。
私はソウイチロウに
「何かわかった?」
「一旦、口の中に入れて、骨だけ出すんすね。」
「うん、固いものが苦手みたい、木は食べるんだけどね・・・朝、言ってた面白い物と、どっちが
面白い?」
「んー朝のやつかな?(10章-1) これはなんか、なんの意思も感じないっすね。ただ食べるために殺した、ってだけで、それに、これ、誰かが歩いてますよ。」
「うん、たぶん、そこの窓を閉めに、向こうに行ったんだと思う、ここの寮母さんに異星人が化けていたのを、マーズちゃんが殺したんだけど(6章-2)・・朝、言ってた面白い物、って私も教えて。」
「・・・良いっすけど、さっき見たら、絵が飾ってあったんすよ。」
「うん、それでも良いよ。」
ドアの外ではマーズちゃんが、へたりこんでいるトカレフたちに
「お前らなあ、これぐらいでバテてたら地獄になんか連れていけねえぞ!」
「いや、あれで気分が悪くなったんじゃ、なくてですね・・・・・。」
「あのA地区のやつで・・・。」
などと、言い訳している。
再び、キングとクリスが見に来たので、私はそこから離れ、手すりの所で青白い顔で座り込んでいる
オフィーリアの所まで行き
「お部屋で休んだほうがいいよ。今日はたくさん頑張ったんだし・・・。」
「そうですよ、姫。」とナナ
「澪様のおっしゃる通りです。」とミミ
タガメもうなずいている。
藍白が、彼女の前で背中を見せて座り
「姫、私の背中に」
オフィーリアは素直に背中に乗ると、藍白は立ち上がり、部下たちも一緒に奥の部屋に入って行った。
フローラが
「私、頑張りますわ。」と変な気合を入れている。
「いいよ、頑張らなくて。」と私
「そうですよ、姫。」とヒアキッソス
「僕、まだ気分悪い。」と、ヒマワリは口を押さえている。
「でも、これぐらいで、へこたれてたら、地獄になんて行けないんでしょ?」
「大丈夫だよ、血の池以外にも、観られる所は色々あるから。」
「血の池!? 血の池ですって?」と驚き後ずさる。
「う、うん・・・ほら、ヒマワリ君が気分悪いって、ヒアキッソス君たちも奥の部屋、使って良い
から。」
「すみません、ありがとうございます。ほらっ、ヒマワリ、行くぞ。」と、手を引こうとすると
「おんぶ。」
「しょうがないなぁ。」
背負って、奥の部屋へと歩いて行く。
その様子を見ているローズは、フローラの方を選んだようだ。

第三都市の状況について

フローラが
「私、なんとなくお母様が「大地がうごめいている。(1章-5)」と言った意味が、わかりましたわ。
「半年から1年(3章-2)」って言った意味も」
「うん、ひょっとしたら蛹を見つけたのかもしれないね。」と私、ローズもうなずいている。
「なに!?」とキング
私はキングに
「ガイアって、今、王宮にいる?」
「えっ!?」
そして思い出そうとし、クリスに目を向ける。
「見かけません、もしかしたら・・・。」とクリス
私は「うん。」とうなづき
「いつ帰るの?」
「きさま!」
「そうじゃなくて、キングがいなくなったら、みんな怪しむじゃん、ただでさえ4人の女神と
その部下がいないってのに。」
マーズちゃんもうなずき
「お前がいなくなったら、誰が指揮を取るんだよ?」
「なあ、アルテミスが「第三都市に不穏な空気が流れてる(7章-1)」って言ったけど、それじゃねえのかよ? お前が来た理由。」とバッカス
「お、お前ら・・・・」
キングが怒りで顔を赤くする。
ルナの1番目の部下アーサーが
「それは違います。確かに不穏な空気が流れていますが、もし亡者が現れた場合に、どう対処したら
いいか見学に来たまで、です。」(さすが、ルナの部下だけはある。)
「そ、そういうことだ。」
キングは立ち直り(図星だろ、まあ、いいか・・。)
「じゃ、いつまでいるんですか?」と私
ルナの他の3人の部下たちも、彼に目を向ける。(知らないのか?)
「ルナ様からの指示があるまで、です。」
(それって・・・大丈夫か? 第三都市、と王宮・・・いや、ルナのことだから何か考えがあるのかも・・・。)
「大丈夫なのか? 第三都市は、お前らまで、いなくなったら・・・。」とマーズちゃん
アルテミスが、珍しく自信なさげに苦笑いしながら
「ルナのことだから、きっと考えがあるのよ。たぶん・・・・・。」と目をふせる。
(たぶん、って・・・。)
「こっちは、こいつ(私)もいるし、その部下も3人いるから全然平気だぜ・・・。」とバッカス
部下たちも、うなずいている。
「まさか、とは思うけど、王宮をこっちに移すの?」と私
「えっ!?」
女神たちや部下たち、布団を担(カツ)いで二人部屋の隣の部屋(1番上の見取り図の3)から出て来た藍白とタガメも、私に目を向ける。
「そ、そうなんですか?!」
ルナの3人の部下たちは、アーサーに詰め寄っている。
アーサーは、頭を押さえ深いため息をついた。(あれ、図星?)
1階出入り口の扉から
「あーおいしかったわ。」
エルザたちが入って来た。そして上を見上げ
「あら、まだ・・・・。」
「あーじゃあ、食事をしながらゆっくり、自己紹介もまだ、だし・・・。」
私たちは、階段の方へと歩き始めた。

用語集としてライガについてのページを新しく設けました。
良かったらご覧ください。

次回
第12章、第二都市(中庭)ー1
「ルナって、今晩あたり来ると思う?」

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