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小説3「地獄の王」

第12章、第二都市(中庭)
1,「ルナって、今晩あたり来ると思う?」

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羊くんとボート2

・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。
・ 太字の「」は、大きな声や音です。
・【】の中の文字は、亡くなった人 たちが発する声や音です。

目次

ルナの考え

遺体の2人

ドアの金具(蝶番)について

日記と遺体の回収

次回

2024年 3月 3日、更新しました。

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ルナの考え

中庭と渡り廊下周辺の見取り図

中庭と渡り廊下周辺(2023年9月13日、更新)

校舎や寮では、ガヤガヤと片付けや掃除を再開している。
校長先生と市長さん、B地区の区長をしている赤い髪のおじさんは、大事な話があるようだと、一緒に話を聞いてくれている。
ルナの第1の部下、アーサーが立ち上がった。
アーサーは会議でよく見る金属の鎧(ヨロイ)を脱ぎ、黒のTシャツとズボンを着ている。その隣の
3人の部下たちも、同じ様な服装でアーサーを見上げている。
私と女神たち、その部下たち、キングとクリスは、テーブルの前のキングが出してくれた豪華な食事に手を伸ばし、食べたり飲んだりしながらアーサーの方を見ている。
気分が悪くなったオフィーリア(前回参照)とナナ、ミミ、ヒマワリは、3階の奥の部屋で寝ている。

「えーと、まだ、はっきりしたことは私にもわかりませんが、私がルナ様からお聞きしたのは、今後のこと、もしくは、もし王宮や第三都市が機能しなかった場合のことを考えて、第二都市の様子を見てくるようにと、おっしゃられまして、いわゆる偵察みたいなものです。王宮を移すかどうかは、王の判断によるとのことでしたが・・・以上です。」
その間、キングは「うん、うん」とうなずき
「まあ、飲め飲め。」と勧め
アーサーは一礼し、椅子に座り食事に手を伸ばす。その部下たち3人も同じ様に食べ始めた。
「という訳じゃ、王宮を移すかどうかは、わしの判断による。よってわしが指示を出さねば、王宮がここに移ってくることは、まずなかろう。」と、キングは私たちに目を向ける。
マーズちゃんが
へりくつこいてんじゃねえよ!要は不穏な空気の原因がまだ、わかんねえからだろうが! ライガの蛹(サナギ)が、どの辺で見つかるかによって決まってくるんじゃねえのか?」
「パチパチパチ。」
赤い髪のおじさんが拍手をする。
全員が赤い髪のおじさんを方に目をやり、一方のおじさんは「すみません。」と小さくなっている。
「お父さん! 何やってんの!」
渡り廊下の方から、上は赤、下は紺の袴姿の、ショートの黒髪の女生徒が慌てた様に声をかけ、連れて行った。
「なんだ、あれ!」とアオバがつぶやく。

私は気にせず
「すみません、ルナの部下は今、第三都市に何人、残っているんですか?」
「3人です。ここにいる部下と同じ様に実力のある部下たちですから、能力の差については心配ありません。」
3人の部下たちも、うなずいている。
「他は・・あなたたちの様に、他の女神の部下で、こちらに来ている部下たちはいますか?」
藍白が手を上げ
「すみません、虹池で、トリトン様にお会いしたのですが・・・。」
「いない所を見ると、もう帰ったのであろう。」とキング
マーズちゃんが私に
「6人も女神が(第三都市に)残っているから、大丈夫じゃないのか?」
「それは、そうだけど・・・。」
「私たち以外に、来るというのは聞いていません。」とアーサー
「それで、これからどうするんですか? 私たちと一緒に学校に入学するとは考えられないんです
けど・・・。」と私
「都市の人たちと一緒に、街の再建を手伝います。」とアーサー
「それは、ありがたい。」と市長さん
「キングも、しばらく居るの?」と私
「だから、最初っから、そう言っておるであろう。」
「聞いてねえよ!」とマーズちゃん
(私も聞いてない。・・・でも、これ以上、聞くのは無理だな。)

遺体の2人

私は、頭を切り替え
「アルテミス、写真、もういい?」
「いいわよ。」
アルテミスは、写真を差し出す。

アルテミスが差し出した4人の写真

今、アルテミスが差し出した写真です。
メガネの人がマリーさん、右の2人が、遺体で発見された2人です。
この"写真"について、もっと知りたい方は、こちらをクリック

私は、そこに写っている遺体の2人を指差し、アルテミスに
「この2人、誰かわかった?」
「異星人じゃないわよ。マドンナに聞いて、って言ったら、わかるかしら?」
「あー了解。」
「孤児かよ?」とバッカス

母性の女神マドンナは、孤児院を設け、親のいない子供のお世話をしている。いつもマドンナの周りにいる子供たちは孤児だ。
正直、私はマドンナが1番心配だ。私やマーズちゃんのように戦闘に特化した部下はいない。彼女の
部下たち全員、子供たちの世話に従事し、逃げる時も小さい子供たちがたくさんいると不利だろう。今のところ、亡者たちが来ていないようなので、モモタ1人でなんとか成っているようだが・・・。

私は、1番端に座っているソウイチロウに
「この写真なんだけどね・・・」
その写真が副隊長、アオバ、ヨシツネの順に渡っていく。
「遺体の2人を、探して欲しいんだけど・・・」
隣のヨシツネが
「これな。」と言って2人の顔を指し示し
「これが、この寮の寮母で、これが居酒屋のケイトさん、でしたっけ、隊長。」
「うん、村の居酒屋の、たぶん居酒屋って1軒しかなかったと思うんだけど・・料理を作っていた人で」
横からフローラが
「オムライスが、とてもおいしいのよ。」
「酒もうまかったぜ。」とバッカス
「で、その2人と、その写真を撮った人をケイトさんにきいて欲しい。どんな会話をしていた、とか
わかること全部、でマドンナにもきいて、孤児みたいだから・・で、A地区の亡者たちが崖から落ちていたのがいたから、村の方に行ってるのがいたりしたら、地獄に送って。」
ソウイチロウは、しばらく考え込み
「わかりました。急ぎますか?」
「急がない、で、できたら第三都市や王宮の様子を報告してもらえたら・・・。」
「わかりました。」

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ドアの金具(蝶番)について

私はアルテミスに
「ルナって、今晩あたり来ると思う?」
「そうね・・・・月が出たらね。」
部下であるアーサーと3人の部下たちが、うれしそうな表情になる。
「ホルスも来てるぜ、姿は見えないけど。」とマーズちゃん
「そうだね。・・・校長先生」
「はい。」
「後で、部屋の中を見て欲しいんだけど」
「わ、私でわかりますかね?」
「あードアの金具だろ、ドアがなくて、金具だけがついてんだよ。」とマーズちゃん
「あー蝶番ですか・・わかりました。あなたたちの部屋も、ベッドがないんですか?」
私と女神たちはうなずき
「白いペンキを塗った家具は、無事ですの。」とフローラ
「見た目で判断するんですか? そのライガというのは。」
私とアルテミスがうなずく。

寮1階と3階を合わせた見取り図

寮の1階と3階を合わせた見取り図です。

日記と遺体の回収

アルテミスが肘をつき、校長先生の目をじっと見て
「校長先生。」
「は、はい。」
「ゆうべ、寮母室にお泊まりになって、何かおわかりになりまして?」
ニコッと笑みを浮かべる。
「恐ろしい女たちじゃ。」と、キングがつぶやいている。
「は、はあ・・日記を見つけまして。」
「まあ、ぜひ読ませていただきたいわ。」
そう言って、もう一度、ニコッと微笑む。
渡り廊下には、いつのまにか銀河連合の人(昨日と同じ人)が立っていて
「わっ!」
校長先生と市長さんは、びっくりしている。
校長! また、昨日と同じ銀河連合の船が!
校舎から、都市の人が走ってくる。

銀河連合の人が、校長先生の近くに来て
「ライガに殺された遺体は?」
「は、入って左手の3階の、突き当たって4番目の二人部屋です。」
銀河連合の人が後ろの銀色の服の人たち(30人ぐらい、昨日より多い)にうなずき、銀色の服の人たちは、駆け足で寮の中に入って行く。
「寮母の日記も提出してください。」
「あ、アルテミス様が」
「私はかまいませんわ。後で教えてもらいます。」
アルテミスが、にっこりと微笑(ホホエ)む。
私はキングに
「ごちそうさま。」
と言って立ち上がり、ソウイチロウに
「面白い物って、どれ?」
ニヤリと笑みを浮かべてソウイチロウは立ち上がり、それを合図の様に、その場にいる全員が
立ち上がった。
校長先生と市長さんは銀河連合の人たちと寮の方へ行き、私たちは校舎の方へと歩きだした。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

次回
第13章ー第二都市(学校の1階、客や職員用の出入り口)
1,(うわーシンクロしちゃった・・・・。)

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