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小説3「地獄の王」

第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
3,「地獄姫を捜してたわよ。」

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・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈です。

目次

和室

「部下は大丈夫なの?」

「地獄姫を捜してたわよ。」

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和室

寮3階1番奥の部屋の見取り図

寮の3階、1番奥の部屋内の見取り図です。
下に書かれた1と4の数字は、前回の部屋決めのくじの時(8章-1)
主人公が割り振った数字です。(2023年9月29日、編集しました)

私は、アルテミスと浴室の方へと歩いて行く。
その途中の右側に部屋があり覗いて見ると、そこは畳敷きになっており、長方形の座卓が2台
柱に立てかけてある。部屋の隅には、座布団が5〜6枚ほど積み重なっているのが見える。その奥は
押入れのようだ。
私はそこに入り、電気をつけた。
「あまり使われてないみたいだね(畳に座卓の跡がついてない)。」
「そうね。」
アルテミスも畳を覗き込むように見ている。
「バタン」と出入り口のドアの閉まる音がして
「あーやっと行った。」
マーズちゃんが肩を回しながら来た。そして私たちに気づき
「そこはトカレフたちが見てたぜ。」
「そうなんだ、あまり使われていないのかなって、座卓の跡が付いてないから。」
と私が言うと
「あーなるほどなー、あいつら怪しい奴がいないか、しか見てなかったからなぁ。」
その後ろからオフィーリアが
「早く入りましょ、どうしたの?」
その後ろからフローラとバッカスも来たので、私は『座卓の跡』について説明すると
「跡って付きますの?」とフローラ
「うん、カーペットに付くじゃない、あの椅子とテーブルも動かしたらついてると思うよ。それで
ここで(明日の)計画を説明しようかなって思うんだけど、良い?」
「良いぜ。」とマーズちゃん
「寝る所はどうしますの?」とフローラ
オフィーリアが
「それは後にして、とりあえずお風呂に入りません?」
なので、私たちは奥の浴室へと歩いて行った。

お風呂のイメージイラスト

「部下は大丈夫なの?」

「あーやっと生き返った。」
マーズちゃんが湯船に浸かりながら、しみじみとした声を出す。
バッカスは、鏡から酒を飲みながら(意味のわからない方は、4章ー1を参照してください)
機嫌良く鼻歌を歌っている。
オフィーリアとフローラ、私、バスタオルをまとったアルテミスは、髪を洗い(私は亡者の血を
流し)
心地良いお湯に疲れた体を浸す。じんわりと熱が顔の方へと昇ってくる。
浴室はかなり広く、白い御影石が敷かれ、その真ん中には、黒い御影石の縁に白い御影石で囲まれた浴槽があり、底は思ったより深く、首まで浸かることができる。
私は隣のアルテミスに
「部下は大丈夫なの?」
「やっぱり、あいつが怪しかったんだ。」とバッカス
「大丈夫よ、監視を付けているから。」
「屋敷に居づらくなったのかよ?」とマーズちゃん
「そうね・・・泳がせているの。」
「第三都市にあまり居たくないんじゃなくて?」とオフィーリア
「それもあるわね・・・でも1番は、あなたたちに鏡を作るよう誘ったのは私だから・・・責任を
感じてよ。あなた達こそ大丈夫なの? 部下を蔑(ナイガシ)ろにして。」
「いいんだって、たまには。」とバッカス
「私、1人でなんでも、やってみようと思いますの。」とフローラ
「私もよ、今までナナやミミに頼りすぎていましたわ。」とオフィーリア
「俺は、澪木みたいなのが理想かな?」とマーズちゃん
「あら、まあ。」とアルテミス
「うん、あの副隊長も時と場所をわきまえて、ちゃんと距離をとってるよな。」とバッカス
「んー毎日、忙しく地獄を飛び回っているからかなあ、亡者がいるからあまり弱みは見せられないし・・・。」
「地獄ってそんなにお忙しいんですの?」とフローラ
「うん、今度おいでよ、ガイアとサファロスの許可が出たら、だけど。」
「明日、来るんじゃない? 私は聞いてないけど。」とアルテミス
「ホルスも来そうだな。」とマーズちゃん
「お姉様(トリトン)も来そう。」とオフィーリア
「キングも来そう。」と私
「リリスは来なさそうだな、メガネがいるから。」とバッカス
「あら、やっぱり。」とアルテミス
「私の部下はどうしてるの?」
「んーメガネくんはリリスのとこで、モモタちゃんって言ったかな? あの子はマドンナの子供達の
お世話をしながら見張っているわね。子供が行方不明になってるから・・もう1人、ボタンちゃんは・・メガネくんが言うには情報集めをしているらしいんだけど・・。」
「うん・・・わかった。」
「ソウイチロウさんは?」とフローラ
「あーあの、のんびりした子ね・・んー時々、周辺の居酒屋に出入りしてるって聞くけど・・・。」
「第三都市の周辺では、あまり亡者は出てない?」と言った後(あーあまり良い雰囲気じゃないって
言ってたっけ(7章-1))・・今、(ここを)離れるのは無理だしなぁ・・。)
と私は思う。

「地獄姫を捜してたわよ。」

アルテミスが私に
「あなたがゆうべ、あらかた倒したおかげで、第三都市では聞かないし、星たちからも報告はきてないわ。」
「でも、良い雰囲気じゃないって。」
「そうなのよ、だから原因がね・・・。」
「なるほど(だからアルテミスも気味悪がってるんだ・・得体の知れない不穏な空気・・・星たちも
落ち着きがない(7章-1))
。」
「そういえば、あの高森くんて言ったかしら?地獄姫を捜してたわよ、私かと思ったけど、みんなが
私を『星の女神アルテミス様』って言うから、結局それらしいのがいないって(おかしそうに)私に
質問してきたわね、目の前にいるのにね。」
「別に言う必要ないし・・・。」と私は少し不機嫌に答える。アルテミスが続けて
「あの川原って子のこと好きみたいだし、あの子じゃないの? 降魔術をしたって子、それと右腕が
なかった由美って子。」
「マジかよ!」とバッカス、そして「ヒュー。」と口笛を吹く。
「そういえばあの子のお腹・・・。」と言って、フローラは自分のお腹をさする。
「やっぱりな、でも、あいつ自身の力っていうよりは、誰かが勝手に埋め込んだって感じだよな。」
とマーズちゃん
「うん・・・。」と私
「そういうことって、できますの?」とオフィーリア
「うん・・・みんなは校舎に入った時に、何を見た?」と私
「見たって何をですの?」とオフィーリア
他の3人も同じような反応だ。(じゃ、私だけか・・・。)
「興味あるわ。」とアルテミス
「じゃ、眠る前に話してあげる。」と言って、私は水音をさせながら立ち上がった。

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第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
4,「見つかった、遺体の2人。」

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