虹色らいん.com

小説3「地獄の王」

第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
1,「誰かが使っていたようですね、壁紙もカーペットも
色褪せていません。」

表紙に戻る

目次に戻る

前のページに戻る

・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈です。
・ 太字の「」は、大きな音や声です。
小さい文字は、小声や小さな音を表しています。

前回、寮母のマリーさんと偽物の寮母さんが亡くなったので(6章参照)
男性の部下たちが校長先生から許可をもらい、「女性の部屋」の方で休むようです。

目次

どの部屋も5人部屋です。

「誰かが使っていたようですね、壁紙もカーペットも色褪せていません。」

くじ

次回

広告

どの部屋も5人部屋です。

寮3階の全体の見取り図

寮の3階の見取り図です。赤い星のマークの部屋が1番奥の部屋で
部屋の番号は注釈の番号と同じです。(2023年5月5日変更しました)

マーズちゃんの部下たち(トカレフ、ニッカ、リボルバー、ランチャー)が、3階の階段を上がって
左手の1番奥の突き当たりの木製のドアに、耳を押し付けている。
ドアの前の廊下の両側にも同じような木製のドアが、4つ(1、2、4、5)並んでいる。
ヒアキッソスやサイケたちが、校長先生から鍵をもらっている所へ、アオバが
「おい!まてまてまて!」
ヒアキッソスが呆れたように
「わかってるよ、とりあえず部屋の広さで考えないと、マーズ様の所は4人いるし・・。」
その隣では、ナナとミミが校長先生に
「私たち、藍白たちとは別の部屋にしたいの。だから、もう1本、鍵を下さいませ。」と頼んでいる。
「お二人ですか? でしたら、こちらの部屋はどうでしょう?確か二人部屋。」(上の見取り図に書いてある二人部屋です。)
「それじゃ遠いわ!」
「えー」と校長先生が声を上げ
ミミが詰め寄り
「私たち、オフィーリア様のお世話をしないといけませんの。」
見かねたオフィーリアが
「ナナ、ミミ、校長先生がお困りですよ。」
「でも、姫・・」とナナとミミ
藍白が「いいじゃないか。」と言うも
「じゃ、藍白とタガメがこの部屋(二人部屋)にしたらよろしいじゃありませんか。私たちは、この
どれかにします。」とナナ
「えー!! もし、ここから(5の隣は、下へ続く階段になっている。)亡者たちが来たら、どうするん
ですか? もしくは、あの寮母に化けてたエイリアンの仲間とか・・。」
藍白は必死で抵抗し、タガメも「うん、うん。」とうなづいている。
ナナとミミは、互いの顔を見合わせ
「それは、大丈夫じゃありませんこと?」
「澪様やマーズ様がいらっしゃるんですから・・。」
(澪様・・もう完全に知れちゃってる・・。)私は鍵を手にしたまま思う。
トカレフがドアから離れ
「校長、5人部屋は?」
「あっ、はい、そこ(1)です。それと」
よっしゃぁ!決まりだな!」「あ、あの・・(校長先生)
トカレフたちは喜び、ニッカちゃんが得意げに
「5人部屋に4人は泊まれるけど、3人部屋に4人は泊まれないんだからね。」
「どっちでも同じだろ。」とマーズちゃん
「違います!!」とトカレフたち4人
(やっと空いた!)私はマーズちゃんの前を通り、トカレフたちの間をぬって、ドアの鍵穴に鍵を
差し込んだ。
「ガチャッ」と音がして鍵の開く音がする。(錆びてない。)
そのすぐ後ろで、副隊長が
「ここだけか? 5人(1)は。」
「いえ、えっと、そっちとそっちとそっちとそっち(1、2、4、5)ですね。」
と校長先生
ヨシツネが「ハッハッハッ」と笑い、アオバが
「それ意味ねぇだろ!」とトカレフたちを指差し
「やったー!私たちにもチャンスが!」ハピラキが両手を上げて喜び
「ばんざぁい!」とメロディーとサイケ
「大袈裟な奴ら。」バッカスは壁にもたれ、腕組みしたまま冷めた目で呟く。
「うわぁー。」トカレフたちは落胆し「マーズ様!!」とすがりついている。
「学生寮ですから。」校長先生は苦笑し
「なあんだ、考えなくて良かったのか。」
ヒアキッソスは安堵している。ヒマワリが
「絶対に、ここ(1)かここ(4)。」と指差し
ローズが
「私たちだってフローラ様のお世話をしないといけないんだから、ね、フローラ様。」
「けっこうよ。」とフローラ
ヒマワリとローズがショックで口をあんぐり開け、ヒアキッソスは苦笑している。
私の背中に向かって
「どうする?」とマーズちゃん
「えっ!?」私は振り向きながら、ドアを少しだけ開け
「くじで」さらにドアの取っ手を突き飛ばすようにして開けた。
ドアが「ギィ」と鳴りながら、ゆっくり右手前方へ、円を描いて離れていく。

「誰かが使っていたようですね、壁紙もカーペットも色褪せていません。」

イラスト

3階の1番奥の部屋の見取り図です。
(2023年9月28日変更しました)

廊下の明かりで、テーブルや椅子が薄らと見える。
部下たちは急に静かになり、私の後ろから部屋の中を見ている。
(もっとカビ臭くて、蜘蛛の巣がかかっているかと思っていたのに、やっぱり・・。)
「あっ、灯りはですね・・。」校長先生が慌てて駆けて来たが、副隊長がいち早く「パチンッ!」と私の
背後から手を伸ばし、内側の壁のスイッチを押した。
私は部屋の中に入る。その後からゾロゾロと女神たち、部下たちも入って来た。
以外というか案の定というか、埃(ホコリ)がほとんど溜(タ)まっていない。
オフィーリアも
「思ったよりきれいですわね。」
とホッとした表情で、部下と共に見渡している。
床にはピンク色の花柄のカーペットが敷かれ、壁には、それと同じ模様の壁紙が貼られている。
それを見てフローラが
「とても素敵なカーペットと壁紙ですね。」
と校長先生に言うも、校長先生は部屋の中を見回しながら「えっ、はっ、はい。」とうわの空だ。
ヒアキッソスが
「姫、誰かが使っていたようですね。壁紙もカーペットも色褪せていません。」
「まぁ。」
隣で校長先生がうなづいている。
「やっぱりな。」とバッカス
他の部下たちは、机の引き出しを開けたり、ベッドの下を覗いたり、隅々まで念入りにチェックしている。

くじ

主人公が描いたメモ

主人公がメモ用紙に描いた部屋の見取り図です。
部屋の番号は、冒頭の寮の3階の見取り図の番号と同じです。

私は、縁が木の彫刻でできている椅子の、アール・デコ調のピンク色の布地が貼られた座面の上の埃を、軽く払って浅く座り、木製の丸い机の上でカバンからメモ帳と鉛筆を取り出し、簡単な見取り図を描いていく(上記のイラスト)。その様子を反対側から、副隊長やアオバ、ヨシツネ、校長先生が覗き込むように見ている。
水の音が聞こえてきた。
見取り図の各部屋に番号を振ると、メモ帳からメモ用紙をもう1枚破り、縦に細長く折って折り目を
付け、その下の方に番号を付けると、折り目に沿ってビリビリと破り始めた。
「それだったら文句は言えませんね。」と校長先生
「そうですね。」と言ってる私の所に、部屋の奥の方からマーズちゃん、バッカス、フローラ、部下
たちが来た。
オフィーリアも来て
「もうすぐお風呂に入れますわよ。」とうれしそう。
部屋の外から
「校長、ちょっと来てください。」滝口先生の声がし、校長先生は出て行った。
部下たちが、私の周りに集まってくる。
私は細長く裂いた紙を、数字がこぶしの中に見えないようにして下の方を持ち
「さあ、どうぞ。」と差し出した。
藍白が
「これは、この(見取り図の部屋の)番号ですか?」
「そうです。会議にいつも来ている人が端を握って、私の合図で引き抜いてください。」
と言うと、みんな「どれにしようか」ジッと見ている。
「早い者勝ちですよ。」
と言うと我れ先にと握りしめ、我が副隊長はさすが、ゆっくりと最後に残った端をつまんだ。
「じゃ、123でいきますよ、1、2、3。」
私のこぶしから細長い紙が一気に引き抜かれ
キャー! やったー!
トカレフが1を引いた。他の3人の部下たちも
「イェーイ!」とうれしそう。
副隊長は5を引き、アオバが
「まあまあっすね。」
ヨシツネもうなづいている。
ヒアキッソスは
「4番って・・やった! 隣だ!」
「すごいよ! ヒアキッソス。」とヒマワリ
ローズも一緒になって
「バンザイ!バンザイ!」
サイケは
「2番か、まあまあだな。」
「うん、3番よりましだよ。」とメロディー
「ワーイ、隣の隣だ!」ハピラキが両手を上げて喜んでいる。
なので3は藍白が引き、タガメと共にガックリと肩を落としている。
さらにナナとミミが
「私たちが3番にいくわ。」
「姫のお世話をしないといけないもの。」
「なに!?」
「引いたのはあなたでしょ。」
オフィーリアが
「仕方ありませんわ。」優しく肩を叩き、藍白はジッと副隊長の方を見る。
「あっ、てめっ!移ろうと思ってるだろう!」とアオバ
「君(副隊長)と俺の中じゃないか、どうせベッドは、後二つ余ってるんだ。」
タガメも「うん、うん。」と笑顔でうなづいている。
私はその光景を見ながら(やっとお風呂に入れる・・あっ明日の計画のこと、説明しなきゃ・・。)

広告

111563059

(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

次回
第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
2,「異星人に体を乗っ取られたら何か違いはあるんですか?」

ページ上部に戻る