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小説3「地獄の王」

第7章ー寮(食堂)
2,「3階の1番奥の突き当たりの部屋は行かないほうがいいわ
幽霊が出るから。」

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()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。

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エルザ、スカーレット、はるか

3階、1番奥の部屋

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エルザ、スカーレット、はるか

寮1階の見取り図2

寮の1階の見取り図です。(2023年5月5日変更しました)

私より頭半分ほど背が高い、長い金髪の女生徒が声をかけてくる。
その後ろにはその女生徒より頭半分ほど背が高く、茶髪を2つにまとめておさげにしている細身の
女の子と、その女生徒より頭1つ分ほど背の低いちょっと小太りで、肩までの長さの少しカールした
茶髪の女の子が立っていた。
市長さんが、慌てて申し訳ないといった表情で
「あーエルザ!・・すみません、娘です。」
「何?」と私
「私はエルザ、市長の娘よ。この子(背の高い)がスカーレット、この子(背の低い)がはるか。」
名前を呼ばれた2人が順に会釈をし、私と後ろにいる女神たちや部下たちも、次々と会釈を返していく。
「私たち3年生だから、この寮のこととか、学校のこととか何でも訊いて。」
私はうなづいた。

3階、1番奥の部屋

エルザが続けて
「それと、お部屋のことだけど、3階の1番奥の突き当たりの部屋は行かないほうがいいわ、幽霊が出るから。」と自信ありげに答える。
「幽霊って?」と私。
「誰もいないのに物音がするの。」とはるか
「いつも暗くて、じめっとしているし・・。」とスカーレット
女神たちや部下たちは、「へえー」といった表情で聴いている。
エルザがムキになり「ほんとうよ!」
横から
「エルザさんの言うことは本当です。私、部屋の前で聞いたんですから。でもドアを開けても誰もいなくて」
小太りで丸顔、メガネをかけ黒髪のショートヘアにピンク色のワンピースを着た女性が口を挟む。
エルザが、片手でその女性をさし示し
「数学の滝口先生よ。」
「滝口です、はじめまして。」
その女性(以下、すべて滝口先生)が会釈をすると、私や女神たちや部下たちが一斉に会釈を返した。
いつのまにか近くには、校長先生や生徒、都市の人たちが集まって来ている。
「その部屋は、元々誰の部屋だったんですか?」と私
「誰の部屋でもなかったわ。」と滝口先生
校長先生が横から
「本当です。一番広くて浴槽付きなので、あなた方の様な女神様たちに泊まってもらおうと、おいていたんですが、寮母さんから「誰もいないのに物音がする」と言われ、女性たちも気味悪がって出入り禁止にしていたんです。」
「そうですか。」と私
「あの、私、見たんです、窓に人影が映るのを・・・。」
とエプロンを付けた小太りの中年の女性、その女性が続けて
「あっ、私は料理を担当している姫子です。A地区から来ているんですけど、もう、あの通り昨日から
帰れなくて、どうかよろしくお願いします。」と頭を下げた。
私はエルザの方を向き
「あの、ききたいことがあるんだけど、」
「何かしら?」
「あの、川原って女の子。」
「あの子だったら、下の名前は幸子っていうんだけど、友達がいなくなって部屋から出てこないから
(フサ)ぎこんでいるんだと思ってましたのに、さっきの態度、見ましたでしょ。」
横の2人もうなづく。
「人がたくさんいたから、だと思うけど・・それとC地区に流れ星が落ちたって。」
市長さんが横から
「あー今、C地区は大変なことになってまして行かないほうが・・あの銀河連合の方たちに言うのを
忘れてたんですが、大丈夫でしょうか?」
「うん、鍛えてるから。」
「あっ、そうですか。」
「うん、たぶん上から把握してるだろうし、少々のことじゃ動じないから、その辺は気にしなくて
大丈夫です。」
「わ、わかりました。」
市長さんが、ほっと笑顔になる。
「校長先生、私たち、その部屋にするので、もし一晩泊まってだめだったら、明日変わります。」
「わ、わかりました。じゃ、鍵を・・・。」
校長先生は鍵束から1本の鍵を差し出し、私はそれを受け取った。
「じゃ、情報をありがとう。」
私は礼を言って、女神たちや部下たちは頭を下げ、出入り口近くの階段(女性の部屋の方、上記の
寮の1階の見取り図を参照)
の方へと歩きだした。

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第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
1,「誰かが使っていたようですね、壁紙もカーペットも色褪せていません。」

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