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小説3「地獄の王」

第4章、砂漠1ー「俺のステージに来てたぜ、2、3ヶ月前だったかな」

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青色の文字は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。

夜の砂漠と4個の鏡

私の前には、真っ暗な闇が広がっている。(ここまで来れば、大丈夫かな?)

真っ暗な闇

マーズちゃんが、先ほどたき火に使っていた木を5本、ジャンパーの左右のポケットから
取り出し火をつける。そして
「ほらよ。」
といって私を含めた4人の女神に1本ずつ手渡した。
オフィーリアが松明(たいまつ)を手に、私の横でうろうろしながら
「どこかに窪地はないかしら? 水を入れてお湯になったら、お風呂に入れますでしょ。」
「どうやって沸かすんだよ。」とマーズちゃん
「いいよ、明日には着かないと、みんなもたない。」と私はフードを脱ぐ。
フローラが
「もうこの辺で休みませんこと? この先どうなっているか、まったくわかりませんし。」
「うん、松明(たいまつ)をくれ。」
とマーズちゃんが言うので、私達4人は再び渡し、それで適当な所にたき火を作った。
その周りに座ると、居酒屋で持ち帰りにしてもらった料理の入った箱を開け食べ始めた。
バッカスが得意げに
「じゃあん!」
と正八角形の鏡を取り出す。そして、自分のコップにその鏡から酒を注ぎ始めた。
「おい! おまえら、その水飲め、その水、せっかくこの俺が酒をやろうってんのに。」
私は、コップの中の水を飲み干して差し出しながら
「すごいね、あの後すぐそれを作ったの? しかも正八角形だよね、それ。」
バッカスは、特異満面にその鏡から酒を注ぎ入れながら
「あのな、俺はあのリリスの妹だぞ、これくらい朝飯前よ。」
「ありがとう。」と言って私はその酒を口に含む(うん、おいしい。さすがバッカスの酒だ。)
3人の女神達も、それぞれついでもらった酒を口に含み
「おいしい!」とフローラ
「おいしいですわ。」とオフィーリア
「あそこ(居酒屋)の酒もうまかったけどな…」とマーズちゃん
フローラが私に
「ところで『子供が行方不明』って、何か心当たりがありますの?」
「うん。」といって、私はコップの中の酒を飲み干し
「いいぞ、飲め飲め。」とバッカスが嬉しそうに、もう一度私のコップに酒を注ぐ。
私は、しばらくコップの中の酒を見つめていたが、
「ハップルの罪は何か、アルテミスからきいた?」
4人は、首を横に振る。
「ハップルはね、人体実験、特に子供を使った…もしハップルが、ここに来て私の鏡を
盗んだとしたら、次はなにかなって…アルテミスがくれたハップルの資料に書いてなかった?」
といって私は、カバンの中から、ハップルについての用紙と似顔絵を取り出す。なので
4人の女神達も、自分のカバンから同じ物を取り出し広げ
「あらっ、書いてますわ。」とオフィーリア
「ぬかったぜ!」とマーズちゃん
「時間がなくて…」とフローラ
「こいつさ俺のステージに来てたぜ、2、3ヶ月前だったかな、 この星のやつじゃねぇって
気づいたんだけどさ…」とバッカス
「演奏はバッカスの部下?」
「うん。」
「部下達は何かいってた? こいつ見て。」と私は似顔絵を、自分の顔の前に持ってくる。
「いや…何も、っていうか、あの後、すぐ部屋に入って鏡作ってさ、フローラんとこ行って」
「バルコニーにバッカスが、リュックサック背負って立ってますのよ、家出をしたのかと思いましたわ。」
とフローラ
「家出は大げさだろう。」とマーズちゃん
「私は絶対する、と思ってましたわ、バッカスが黙っている時って、良からぬことを考えている時
しかありませんもの。」とフローラ
「アッハッハ」と私とマーズちゃんとオフィーリアが笑う。
バッカスは、本当のことを言われているが機嫌がいいようで、怒らずに口元に笑みを浮かべてコップの中の
酒を眺めている。
オフィーリアが、ため息をつくように
「さ、明日は日の出と共に出発しませんと…部下達が必死で私の名前を呼んでいるのが聞こえますの。」
「眠たかったら寝ていいよ、見張っているから。」と私
フローラが
「あまり眠たくありませんわ、何かお話しません? せっかく部下達もいないし、5人だけなんですから」

フローラの申し出により、ガールズトークが盛り上がりそうです。
次回は、それぞれの女神たちが、自分の部下を教えてくれます。

次回
第4章、砂漠2ー「そいつらは、私や部下を自分達と同じようにしたいと狙ってて…
そのほうが、部下や私をコントロールできるから」

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