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小説3「地獄の王」

第1章、王宮
3,(本当に・・・何もないの?)

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・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。

目次

第二都市の市長さん

太陽の女神ホルスと1番目の部下アポロン

火の女神マーズと1番目の部下トカレフ

星の女神アルテミスと1番目の部下ベロニカ

風の女神サファロスと1番目の部下ゲイル

大地の女神ガイアと1番目の部下フィリップ

花の女神フローラと1番目の部下ヒアキッソス

次回

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前回は、私の前のテーブルの右側(キングから見て左側)に座っている女神とその1番目の部下たちを紹介しました。
今回は、テーブルの反対側に座っている女神たちとその1番目の部下たちを紹介しようと思っていたら・・・

その反対側の市長さんの手前(キングから見て右側、私から見て1番奥)に座っている、太陽の女神ホルスが不機嫌そうに
「第二都市が先じゃありませんこと? 早くお帰りに、なりたいでしょうし」
と軽蔑するような横目でキングを見る。
(あーあ、呼びつけされて(前回参照)キングの不機嫌が移っちゃってる。)

第二都市の市長さん

かわいそうに・・・キングの左後方で座っている、年は50~60代くらいの男性、小太りの体形に
薄いグレーのスーツ、短いひげを生やして眼鏡をかけた、人の良さそうな感じの第二都市の市長さん
慌てて立ち上がり

「い、いえ、私共の方は大丈夫でございます。この後、家族にお土産を買う予定もありますし・・・」
ホルスの目線の先にいることもあり、いくぶん震えながら答えた。
(お土産・・・最後かも・・・ん?)
足を組んだまま、キングは腕を組み
「ふん! で、そちはどうなのじゃ?」
隣で震えている市長さんを横目で見る。
「は、はい、私共の方は、何も変わりはございませんです、はい!」
と言って座った。 (本当に・・・・・何もないの?)
私の心の奥底から、もう1人の私の声が聞こえ、生前に時々感じていた不安が久しぶりに、じわじわと心の中に広がっていく。

次は、太陽の女神ホルスを紹介しよう。

太陽の女神 ホルスと1番目の部下 アポロン

太陽の女神ホルスは、動くたびにオレンジ色になったり赤くなったりする太陽のような髪を足下まで垂らしている。目の奥には燃えるような炎を宿し、燃えるような赤い唇、白く抜けるような肌
燃えるような赤いドレスを身に纏(マト)い、そのたたずまいには文字通り太陽のような威厳が
ある。

その隣、同じくらい赤い髪をオールバックにし、赤い目、赤いスーツを着た20代の青年の姿をした
部下のアポロンが立ち上がり

「特に変わりありません。」
と言って再び座った。

火の女神 マーズと1番目の部下 トカレフ

その隣が、妹の火の女神マーズ
姉のホルスよりも落ち着いた深い赤色の髪に、オレンジ色の目、髪と同じ唇の色
姉と同じ抜けるような白い肌をしている。
見た目はオフィーリアと同じ10代半ば程で、赤いガーネットのピアスに赤いシンプルなブラトップ、白い肩から両腕を露出し、活発な彼女らしく赤いズボンを履き、キングと同じように両腕を組み片足を
組んでいる。

私は彼女のことをマーズちゃんと呼び、けっこうウマが合うというか親友のような存在である。
なにしろ火と地獄は切っても切れない仲なので・・・

その隣の長いまっすぐな黒髪に、黒い目、赤いブレザーに赤いタイトスカートを着た女性の部下
トカレフが立ち上がり

「特に変わりありません。」
と言って座った。

星の女神 アルテミスと1番目の部下 ベロニカ

その隣が、星の女神アルテミス
立ち上がると踵(カカト)まである漆黒の長い髪、星のようにキラキラ輝く目
グロスを塗ったように唇もキラキラ輝き、肌もグリッターで塗ったようにキラキラと輝いている。
服も黒地のドレスが動くたびに、キラキラと光の線が波打つように動き、輝いている。

その隣、同じようにキラキラした黒いスーツを着こなし、キラキラした髪を後ろで団子に束ね
赤い唇、白い肌をした、見た目20代の女性の部下ベロニカが立ち上がり
「特にありません。」
と言って座った。

女神と部下、二人の違いは、目がキラキラ輝いていないこと。
目が『星のようにキラキラと輝く』ということは、星の女神としての特権であり証拠でもある。
その女神の両目が、私を見ている。
(ん?・・・何?)私は思わず目で聞き返す。
ベロニカが、不安そうにアルテミスに目をやり、キングがたまりかねたように
「どうした!? アルテミス、言いたいことがあるなら、はっきり言え!」
「あーちょっと・・後でも、いいですか?」
「うむ・・では・・次、サファロス!」
(うーん・・アルテミスも気になるけど、第二都市のことも気になる・・・この不安はなんだろう?)
手伝いの者から紅茶のお代わりを勧められたが、私の頭の中はそれどころではなく、片手を横に振り
断った。その後ろで、私の部下が腕組みして、じっとこちらを見ているのがわかる。

残りの女神たちの紹介に移ろう。

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風の女神 サファロスと1番目の部下 ゲイル

風の女神サファロスは、茶色い目に、ソバージュの長い茶色の髪をしている。その顔にかかる髪をすべて後ろに流し、腰まで垂らしている。
ドレスは緑色のベルベットの生地に、胸には金色のメダルが輝いている。ドレスの縁は金糸で縁取られ、ドレスにも金糸の刺繍がされている。

その隣の茶色い髪に茶色い目、緑色のスーツを着た20代の男性の部下ゲイルが立ち上がり
「特に変わりありません。」
と言って座った。
サファロスが、その部下越しに興味深そうな目で「何々?」と訴えかけてくる。
(もう2人いるから、ちょっと待って!)
私が制止したので、今度はその隣のアルテミスに目をやるも、当のアルテミスは宙を見て何か考え事をしている様子で、彼女の部下もその様子をじっと見ている。

その隣の、大地の女神ガイアの説明に移ろう。

大地の女神 ガイアと1番目の部下 フィリップ

大地の女神ガイアは、目は緑色、黒みがかった緑色の長い髪に、サファロスと同じように顔にかかる髪をすべて後ろに流し、腰まで垂らしている。
ドレスは、茶色で緑色の刺繍がされている。
ちなみにガイアとサファロスは親戚で、よく似ている。

その隣の、ゆるくカールした白髪、毛むくじゃらの髭に短足、胴長で身長は140cmぐらい、椅子に
ちょこんと座った男性の部下フィリップが、ピョンと椅子から飛び下り
「特に変わらん・・・よっこいしょ。」
と言って再び座った。
童話に出てくる小人にそっくりで、服も紺のオーバーオールに、オレンジのYシャツを着ている。

花の女神 フローラと1番目の部下 ヒアキッソス

やっと最後、ガイアの隣、または私の左隣に座っている花の女神フローラ
私と同じ10代ぐらいで、ガイアの娘。
緑色の目に、カールした豊かな金髪には白い花の髪飾りを、耳のきわから後ろにかけて髪を埋め尽くすように付けており、とても可愛らしい。
両肩の袖はパフスリーブ(日本では、ちょうちん袖ともいう)、膝まであるバレリーナの衣装のようにフワッと膨らんだピンク色のドレスを着ている。

その隣の金髪のショートヘア、紫がかった水色の目、薄紫色のスーツを着た10代の
男性の部下ヒアキッソスが立ち上がると同時にフローラも立ち上がり、隣の困った部下を尻目に

「こちらは特に変わりありませんわ。それより早く聞きたいわ。」
と言って私の方を見た。

王(キング)と女神たちと、その1番目の部下の紹介は以上です。
理解しやすいよう部下の名前を入れましたが、私(主人公)は部下の名前を知りません。
なので話の中で、女神が部下を紹介する場面が出てきますが、話の流れとしてご了承ください。
次回は、先月の会議の後で私が作った鏡について、アルテミスが話してくれます。
そして得体のしれない不安が強くなるなか、私(主人公)がとった行動は?

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次回
第1章ー王宮
4,「第2都市の学校に入学します。」

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