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小説3「地獄の王」

第1章、王宮
2,「特に変わりありません。」

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・ 青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。

目次

月の女神ルナと1番目の部下アーサー

母性の女神マドンナと1番目の部下ピーター

海の女神トリトンと1番目の部下ネプチューン

川の女神オフィーリアと1番目の部下藍白

芸能の女神アマリリスと1番目の部下ララ

酒と音楽の女神バッカスと1番目の部下サイケ

次回

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今から13人の女神たちと、その右側後方に座っている1番目の部下たちを紹介する。
どの部下たちも賢く、常に自分の女神に気を配っている。その点ではとても頼もしい存在である。

月の女神 ルナと1番目の部下 アーサー

キングの隣、左側に座っているのが月の女神ルナ
長い床までつきそうな程のまっすぐな銀色の髪に、夜の闇のような暗紫色の目、月の光のように
冷ややかな白い肌。唇(クチビル)は控えめに紅をさし、穏やかそうな表情で微笑をたたえている。

頭の周囲に1本の金色の細い鎖が巻かれ、その額には雫(シズク)形に加工された赤い宝石、ルビーが光っている。宝石は毎回変わりブルーサファイアやムーンストーンの時もある。
胸元には直径5㎝ほどの大きさのルビーがきらめき、シルクの光沢のある生地のドレスで体を包んでいる。

その後ろで座っている、短い金髪で白い肌、緑色の目に、銀色の鎧を着た20代の男性の部下アーサーが立ち上がった。そして、チラッとルナに目を向けた後、すぐさま正面を向き、私たちに向かって
「こちらは特に変わりありません。」
と言って再び座った。
私の部下と、時々話しているのを見かける。

母性の女神 マドンナと1番目の部下 ピーター

ルナの隣が母性の女神マドンナ
少しカールしたつややかでたっぷり量感のある黒髪を束ね、ピンクの花や白い小花の髪飾りをつけている。
抜けるような白肌に、チークを塗ったかのようなふっくらした薔薇(バラ)色の唇。
白いふわりとしたドレスを身にまとい、まるで陶器から抜け出たような感じを思わせる。
今はいないが、常に小さな子供たち(孤児)に囲まれている。

その後ろには、10代の羊飼いのような少年の姿をした1番目の部下ピーターが座っている。
茶色い髪に緑色の目、白い肌、茶色の帽子に茶色のベスト、肌触りの良さそうな白いシャツに茶色のズボンを履いている。
立ち上がると、いくぶん幼い声で
「こちらも変わりありません。」
と言って座った。

ちなみにルナとマドンナは、親戚のような関係らしい。

海の女神 トリトンと1番目の部下 ネプチューン

次にマドンナの隣が、海の女神トリトン
深い青色の髪をザックリと丸くカットし、目は深い海の底のような濃い青色、白波のように白い肌。
その大きな目で興味深そうに周囲を見渡しながら、先程取ってもらった、苺のタルトにフォークを
入れ、紅茶を注いでもらっている。
細い肩ひもを肩にかけた紺色のイブニングドレスを身にまとっているのだが、そのドレスには所々に金色の刺繍が施され、その刺繍が動くたびにキラキラと、海底に差し込んだ光のように反射している。

その後ろで座っている、ゆるくパーマのかかった白髪を耳の下まで伸ばし、夜の海のような黒い目。日焼けをした焦げ茶色の肌に直接白い布を右肩にかけ、体を覆った20代の男性の部下ネプチューン
立ち上がり、キングの方を見て
「こちらも異常ありません。」
と言って座った。

川の女神 オフィーリアと1番目の部下 藍白

その隣が、トリトンの妹である川の女神オフィーリア
年頃は私と同じぐらいの10代で、ゆるくパーマのかかった長い金髪に水色の目、トリトンと同じ白波のように白い肌をしている。
その白くて細い指先で、目の前のクッキーを小皿に取ってもらうと、それを嬉しそうにほおばっている。その横のカップに、手伝いの者が幸せそうに、心地よい音を立てて紅茶をなみなみと注いでいる。

その隣の黒縁眼鏡、ざっくばらんにカットした黒髪、私の部下の副隊長と同じ黒い着物を着ている
20代の男性の部下藍白(アイジロ)が、口元にうっすらと笑みをたたえながら

「特に変わりありません。」
と言って座った。
この部下も、私の部下と話しているのを時折見かける。

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芸能の女神 アマリリスと1番目の部下 ララ

その隣が、芸能の女神アマリリス
みんなからは、リリスと呼ばれている(以下すべて、リリス)
王宮の外には第三都市が広がっており、芸術の都として常に華やかな音楽や劇、展覧会が催されている。リリスは、その都を統べる女王である。
ふくよかな金髪に紫色の目、しっとりとした白い肌。常に穏やかな笑みをたたえている。
全身からは常に花の香りが漂い、近くに来る者はうっとりとした気分にさせられる。

部下は20代の女性で、名前はララ
金色に近い明るい茶髪をひっつめて、頭のてっぺんでお団子に丸め、緑色の目に、かしこそうな表情をしている。
胸元が開いた膝まであるワンピースに、白いシャツのような襟、控えめに金のネックレスと金の
ピアスを着け、スレンダーな体型をしている。

立ち上がると
「こちらも特に変わりありません。それと、この後、和太鼓とオーケストラのコンサートがありますので、ぜひ、いらしてください。」
と言って座った。
リリスが笑みを浮かべ、私を見てうなずいている。

実は私は生前の名残で、展覧会やギャラリーを見て回るのが好きなのだが、これが終った後、リリスと一緒に見て回るのが10年程前からの恒例となっている。他の女神たちも一緒に見て回り、コンサートの最後には王宮に戻り、晩餐(バンサン)会と称して美味しいものを食べて、お開きになるのが毎回のパターンだ。第三都市といったが第二都市もあり、それは後ほど説明する。

酒と音楽の女神 バッカスと1番目の部下 サイケ

その隣がリリスの妹で、酒と音楽の女神バッカス
ソバージュの肩まである焦げ茶色の髪に、漆黒の情熱的な目。
音楽の女神であり、どんな楽器でも、たちどころに弾きこなす天才。歌も素晴らしく、鼻歌でさえ
鳥や動物たちが寄ってきて、聞く者をうっとりさせるほど素晴らしい。

今日のバッカスは、赤地に白い蘭の花の描かれた着物に、黒地に金の小さな四角が散りばめられた
帯を締め、その後ろの長いあまった帯を椅子の背もたれの外にだらりと垂らしている。

普段は良い子なんだけど酒が入ると大変で、この後の晩餐会でも部下たちに、たしなめられながら
最後には酔いつぶれ、一方の私は「朝まで俺の酒が飲めねえのか!」と彼女の酔った声を聞きながら
王宮を出て行くのがいつものパターンだ。

その20代の男性の部下サイケは、黒い短髪に黒い目、背が高くスラリとおしゃれな黒のスーツを着こなしている。
そして立ち上がり
「特に変わりありません。」
と言うのを途中で遮るように、
バッカスが急に私の方を振り向き満面の笑顔で
「俺も歌うからよ!」
その隣の部下は苦笑しながら座り、私は「う、うん。」とうなずくしかなく(バッカス、黙っている時と歌っている時は絶世の美女なのに・・・)、リリスはため息をつき、周りの者たちは笑みを浮かべ
キングはイラつきながら

「次、ホルス!!」
と自分の右側に座っている太陽の女神ホルスを名指しした。

以上、私の前のテーブルの右側(キングから見て左側)に座っている女神とその1番目の部下たちを
紹介しました。
次回は、テーブルの反対側に座っている女神たちとその1番目の部下たちを紹介します。

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次回
第1章ー王宮
3,(本当に・・・何もないの?)

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