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小説3「地獄の王」

第2章ー地獄
1,「天上に黒い穴が開いているんすけど、ブラックホールみたいな。」

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最初に出てくる部下たちの名前を、わかりやすいよう太字にしています。

・()の中の灰色の文字は、作者による注釈、フリガナです。
・ 太字の「」は、大きな声や音です。

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部下たち

指示と、残りの部下

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2024年 3月 27日、更新しました。

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部下たち

地獄に戻ると、私は副隊長に、他の部下たちを全員集めるよう指示を出した。
さっそく自分の部屋の大きな鏡の前に立ち、小刀を出して、鏡の中の自分の顔に突き立てる。
ガァン!!
大きな音がして鏡が、ガラガラと粉々に床に崩れ落ちた。

そこへ副隊長を先頭に、部下たち全員が慌てて入ってきた。
割れた鏡に唖然としながらも
「亡者たちが、どんどんいなくなってます!! 」と言ってきたのはモモタ
茶髪のショートヘアに黒目、服はカンフー映画に出てくるような、上が水色の詰襟の長袖
下は長ズボンを履いている。

武器を使わず素手で亡者を倒す、いつも元気いっぱいの活発な女の子。

「天井に黒い穴が開いているんすけど、ブラックホールみたいな。」と言ってきたのはアオバ
彼は、少林寺拳法の修行をしている青年のように丸坊主で、切り込み隊長のように細長い棒
を両手に、真っ先に敵陣の中に突っ込んでいく。

モモタと気が会うみたい。
副隊長が言うには、私が一番の切り込み隊長らしいんだけど・・・。

「会議で何かあったのですか?」と言ってきたのはヨシツネ
がっしりした体つきに、四角い顔の20代後半から30代ぐらいの青年。
黒い髪に黒い目、とてもまじめな性格で、スーツ姿を着たらサラリーマンのようだ。
身長が、私より少し高いぐらいで160cmぐらいか。ちなみに私の身長は156cm。アオバが175cmぐらい
の細身。副隊長は180cmぐらいで一番大きくて、がっしりして男の中の男って感じかな?私がいなくても十分隊長がつとまるほどの人物だ。

話がそれた。
で、そのヨシツネが
「会議で何かあったのか?」ときいたので、私は会議であったこと(1-4)を説明した。
みんなショックを隠せないようだ。
私は続けて
「今から3つに分かれて、地上の亡者たちを地獄に送り返して欲しい。今いる亡者たちは、私が穴をふさぎ地上へ出られないようにする。」

「中には入れるんですよね。」と言ってきたのはメガネ
茶髪に茶色い目。芸能の女神リリス(アマリリス)からもらった眼鏡をいつもかけているのでメガネと呼んでいる。
一見、大学生のような出立(イデタ)ちだが、とても努力家で、副隊長の補佐役として常に地獄内を
飛び回っている。
また、部下たちも、私と同じようにイメージを形にして武器を作り出しているのだが、特にメガネは
誰よりも勉強熱心で、武器の研究に余念がない。
会議が終わった後、いつもなら私の後についてギャラリーや展覧会を廻るはずだったのだが
「街の様子はどうだった?」ときいてみる。
「女神さまたちが、なかなか出て来られないので不審がっていましたが、亡者が出てくる気配は、ありませんでした。」
私はうなづき
「先ほども言ったけど、奪われた鏡の力はそんなに強くない。第二都市で鏡の力を大きくする何かが起こったんじゃないかと考えている。なので、今から第二都市に私を含めて4人、第三都市に3人、都市の周囲で行動する者1人を配置する。」

「あのー第二都市で起こった何かって、何すか?」と、のんびりした口調で、のっそりと手を上げたのは
ソウイチロウ
身長は175cmぐらいで、ゆるくウェーブがかかった肩まである髪に無精髭
一見、自由気ままで風来坊、マイペースといった感じだが、実際にその通りで、あまり縛られるのを好まず、地獄内でも自由気ままに動いている。が、そういったタイプも広い地獄内をくまなく看(ミ)て回るには必要で、うまくバランスがとれていると自負している。で、そういった性格を考え、ソウイチロウには都市の周囲で動いてもらおうと思っている。

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指示と、残りの部下

で、その問いに私は
「降魔術。」
部下たちは、私を見たまま唖然とした表情で黙っている。私は続けて
「今のところ誰がしたかはわからない。でも、ハップルに盗まれた鏡だけでは、あそこまで大きな穴はできない。なので、これから第二都市の学校に入り調査します。」

しばらく沈黙があった後
モモタが片手を上げ
「後の3人は誰ですか?」
「第二都市に行ってもらうのは、副隊長、アオバ、ヨシツネ。ただ、私は穴を閉じて周囲の様子を見ながら行きたいので、先に行って欲しい。向こうの市長さんには言ってあるので、ただ学校に入学するかどうかは自由に決めていい。」
「はい!」
アオバとヨシツネが真剣な表情で返事をし、副隊長はうなづくのみ
「で、都市の周囲で行動してもらうのはソウイチロウ。」
「うす。」
ソウイチロウが両手を後頭部で組み、のんびりとした返事をする。
「私は、第二都市の方に向かって歩くので、」
「第三都市っすね、了解っす。」
ソウイチロウが先をつなげる。見た目はのんびりとしているが、とても頭が良くのんびりとして見えるのもそのためだ。

「で、第三都市はメガネ、モモタ、ボタン。」
ボタンというのは、一重まぶたに、紅を塗ったおちょぼ口、白い肌に黒い目、黒いまっすぐな長い髪
いわゆる日本人形のような顔立ちをしている。
モモタやヨシツネと同年代で、無口だがしっかりした観察力を持っており、身のこなしも軽く、くの一のような女の子だ。
いつも黒いストールを首に巻き、黒い服に身を包んでいる。
ヨシツネがいつも気にかけている。

で、その3人が
はい!」と勢いよく返事をした。

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第2章ー地獄
2,「ドラゴンは、ここに置いていって」

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