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小説3「地獄の王」

第19章、第二都市(学校の1階、用務員室前)
1,「ここの生徒さん、あんまり本を読むのが好きじゃない
みたいで」

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前回、校長先生と青木先生に合宿部屋を勧められ
今晩は、そこで休むことになりますが
おかしな関係になることは一切ないことを、先に言っておきます。

・青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・灰色の()は、作者による注釈、フリガナです。
・小文字の「」は、小さな声です。
・太字の「」は、複数人の声です。

目次

『木花さんに挨拶』の前

抽象画?

「ショコラをどうぞ。」

次回

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『木花さんに挨拶』の前

学校の校舎1階の見取り図

学校の校舎1階の見取り図です。
登場人物たちは、向かって右側、校長室周辺にいます。

合宿部屋は、用務員室の2階(木花(コノハナ) 咲子さんの部屋)の真上に当たるということで
「木花さんに伝えておいた方がいい」と、私が提案し挨拶をすることになった。
女神たちや部下たちと寮の浴室で入浴した後、木花さんの部屋に行く。
校長先生と青木先生は部屋の説明を、女神たちと部下たちは、先に部屋で布団を敷いてもらっている。
私と副隊長は、校長先生と青木先生が来るのを待っていた。・・・が、なかなか下りて来る様子が
ない。
「来ないね。」
「・・・見てきます。」
副隊長が、階段を上がって行く。

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抽象画?

私はこれ幸い(?)と、絵の方に行き、カウンターを背にして、じっと絵を眺める。
(確かに、これは右腕の傷の拡大版・・・)

後ろのドアが「キィ。」と微(カス)かな音を立てて開き

「あらっ、絵に興味があるの?」と木花さん
(やっぱり女性1人だと、心を開きやすい。向こうから声をかけてきた。)
「はい、これは誰が描かれたんですか?」
「私よ。」
「抽象画?」
私は、もう一度、絵に目を向ける。

赤い油絵具で描きなぐったような抽象画のような絵3-19-1

「んーなんだと思う?」
「赤い薔薇(バラ)。」
「まあ素敵! そういう風にも取れるわね。」
木花さんが、笑顔で絵を見る。
「木花さんは、絵を描くのが好きなんですか?」
「まあ、嬉しい。私の名前を覚えてくれたのね。ええ、好きよ。絵を描いていると、時間を忘れるわ。
あなたも描くの?」
「今は忙しくて、もっぱら見るのが専門で、木花さんは図書室の司書をされてるって聞いたんですけど
図書室に画集ってありますか?」
「あるわよ。写真集もたくさん、50冊はあるかな。」
「けっこう置いてあるんですね。」
「ぜひ、来てね。本は、2週間で5冊借りられるから・・・ここの生徒さん、あんまり本を読むのが好きじゃないみたいで、あなたにも来てもらえると嬉しいな。」
「ぜひ、明日にでも行きますね。あれ? 遅い・・」と言って、私は階段の方に目を向け
「あの、実は、2階の合宿部屋を借りていいって校長先生に言われて、それで2階がうるさくなったら
いけないと思って、挨拶に来たんです。」
「まあ、そうだったの。ここは鉄筋コンクリートだから、少々のことじゃ響かないから気にしなくて大丈夫よ。」

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「ショコラをどうぞ。」

「あらっ澪ちゃん、どうしたの?」と、後ろからアルテミスの声
「えっ・・・木花さんに迷惑かけるかもって挨拶に、」
「まあ、女神たちと部下たちがうるさいとは思いますけど・・・。」と、ルナが頭を下げる。
その後ろの、アーサーたちとクリスも頭を下げている。
「あっ、いえ・・・。」木花さんも頭を下げた。
「これ、差し上げます」と、ルナが言うと
「どうぞ。」
ランスロットが大皿を差し出す。その上には、ショコラが形良く盛られている。
「まあ!」
木花さんが、頬をいくぶん赤らめながら、どれにしようかと悩んでいる。
「お好きなだけ、どうぞ。」とルナ
「あっ、じゃあ・・。」
木花さんは、ショコラを3個、手に取った。

「じゃ、お休みなさい。」と私
お休みなさい。
アルテミス、ルナとその部下たち。クリスは軽く頭を下げている。
木花さんは笑顔で手を振り、ドアを閉めながら
「お休みなさい、澪ちゃん。

私は最後の声が聞こえなかったふりをしながら、アルテミスたちに
「校長先生が来なくて。」と言いながら、すぐ横の階段を上がって行く。
「それはおかしいですね。」とアーサー
クリスもうなずき
「校長や青木先生はともかく、副隊長が来ないのは・・・。」

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次回
第19章ー第二都市(学校の2階、合宿部屋)
2,「あれは、単なる暗闇ではない!」

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