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小説3「地獄の王」

第18章、第二都市(中庭、学校)
1,「2匹いたのね。」

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3-18-1top画像に使用したイラスト

使用したイラストは、PIXTABOOTHにて販売中です。
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この部分の文章は、登場人物たちが見ている幻覚です。

今回は、幻覚の中にショッキングなグロシーンが含まれており
その部分だけ、非表示にしました。
noteでは見ることができないので、話の内容に影響することはありません。

「表示(閲覧注意)」のボタンをクリックすると見ることができますが、自己判断でお願いします。
再度、「表示(閲覧注意)」のボタンをクリックすると消えます。

水色の()は、作者による注釈、フリガナです。

幻覚以外の文章について

・青色の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・灰色の()は、作者による注釈、フリガナです。
・太字の「」は、複数人の声や、大きな声や音です。

目次

木花 咲子さんの部屋

幻覚

幻覚1

幻覚2

幻覚3

幻覚4

幻覚5

幻覚6

次回

(注)幻覚1〜6は、目次としてわかりやすいように設けただけで、本文内にはありません。
  幻覚は、すべて繋がっています。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

木花 咲子さんの部屋

学校の敷地全体の見取り図

学校の敷地全体の見取り図です。

校舎に向かって、渡り廊下を歩いて行く。
右手には、大きな針のように細い三日月
月の女神ルナがいるので、三日月なのに煌々と周囲を照らし、幻想的な雰囲気だ。

「わあ、すごい・・・。」
校長先生、市長さん、姫子さんたちは、大きな三日月に感嘆の声を上げる。
私も大きな三日月を見て、次に、来客や職員用のドアの方を見る。(下記の校舎1階の見取り図参照)
出入り口の所から、明かりが漏れている。

私は川原 幸子さんにした質問15章-1「木花 咲子さんって、寮のどの部屋にいるの?」を、校長先生にもしてみる。
校長先生は気恥ずかしそうに
「前に生徒だけが増えて、寮の部屋がいっぱいになったことがありましてね、で、とりあえず1週間だけ、という約束であそこに移ってもらったんですけど、自分はあそこが性に合ってるって言ってね、それで、ずっとあそこなんですよ。」
横から、食堂で働いている中年女性の百合子さんが
「食事もわざわざ、ここまで取りに来て、持って帰って食べるのよ。」
「いつ頃からですか?」と私
校長先生が
「あれは、2年ぐらい前だったかな?」と、思い出そうとしていると
ルナが校舎の出入り口を指差し
「見て! もう、始まってるわ!」

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幻覚

学校の校舎1階の見取り図

学校の校舎1階の見取り図です。
「生徒の下駄箱」内の茶色い長方形は、下駄箱です。

校舎の中の廊下を、由美ちゃんが全速力で、校長室がある方に向かって走って行くのが見える。
ルナが走り出し、私と、私の部下とアルテミス以外が、慌てて校舎に向かって走り出した。
「澪木、行かねえのかよ?」とマーズちゃん
「うん、この辺でいる。」
「マーズ様、早く行きましょう。」

私は生徒用の下駄箱の前の廊下で、由美ちゃんが走って行った方を見る。
「どうするんです?」と副隊長
「あ、いや、イモ虫こっちに来るかなって、来たらどうしたか見たくて。」
「楽しみね。」
横には、アルテミスとアーチャーが立っている。
(アルテミス・・反対したのに・・・アーチャーは非番か?)
「まったくだ。」
いつの間にか、キングもいる。
「キング、寝たんじゃなかったの?」
「お前は・・・あれだけ騒々しかったら眠れぬわ。」
(聞いてたな。私たちの話を・・・。)(17章-1)

周囲の風景が昼間になっていた。
色とりどりの袴(ハカマ)姿の学生たちが、下駄箱の方へと歩いて行く。
突然、緊急警報のサイレンが鳴り出した。
下駄箱の丸い時計は、午後3時を差している。

(午後3時って・・えっと・・・・。)
「会議をしていた時ね。」とアルテミス
(そうなんだ。)

「えっ、何?」
学生たちが動揺し、周囲を見回す。
運動場に亡者たちが出現し始めた。
地獄に穴が空いたのだ。

部下たちが、それぞれの武器を手に構える。
私は慌てて
「これは幻覚だから、あの時の午後3時の再現だから刀は抜かなくていいよ。その代わり、しっかり視てて、何が起こったのか。」
部下たちは構(カマエ)を解くが、刀は持ったままだ。

学生たちが、運動場の亡者たちに悲鳴を上げ、その場に立ち止まる。
下駄箱の所で、草鞋(ワラジ)や靴に履き替えたは良いが、そのまま前に進むことができず
立ち往生していると、階段から下りて来た生徒たち、女性ばかり20人ほどが走って校舎を出て行った。
その先、寮の扉が半分ほど開いて木花 咲子さんが
「こっちよ!」と促し
その扉の中に入って行った。

それを見た下駄箱にいる学生たちが
「あっちだ!」
寮に向かって、一斉に走り出す。
職員用の出入り口からイモ虫(ピンクの塊(カタマリ))が飛んで来た。

(由美ちゃんを咥(クワ)えたまま)弾丸のように来て、生徒の下駄箱の間をピンポン玉のようにあっちこっちにぶつかり、下駄箱を左右に倒し、下駄箱の間で逃げ遅れた生徒が、下駄箱と下駄箱の間に挟まれる。

イモ虫は運動場へと逃げようとするも、亡者たちに阻まれ

今度は渡り廊下の生徒たちを跳ね飛ばしながら、寮の扉を開けて入ろうとしていた生徒を突き飛ばし

寮の中へと入って行った。

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その頃には、戻って来た女神たちや部下たち、校長先生や姫子さんたちが呆然と中庭で、イモ虫の行方を目で追っている。

学校の校舎1階と寮3階の見取り図

学校の校舎1階と寮3階の見取り図です。

私は、寮の3階1番奥の女神たちの部屋(上の見取り図内の赤い星がある、今はキングの部屋)の方へと、駆け出した。
後ろから、部下たちだけでなく他の人たちもついてくる。

そこへ半分も行かない間に、奥の部屋の寝室の渡り廊下に面した一番大きな出窓から、ダブルベッド
ほどもある焦茶色のイモ虫が飛び出して来た。
と同時に、空から半分に引き千切られた蝶番が落ちてくる。

(2匹いた。これがドアがなかった真相だったんだ。)
「2匹いたのね。」とアルテミス
アーチャーも、うなずいている。
「じゃ、もう1匹増えたってことですか?」
市長さんが、頭を抱えている。

寮の左側(木々がある方)へと回ると

3階の二人部屋の窓(上下開閉式、下のイラスト参照)が開いており、そこから先ほどより一回り
小さいライガが飛び出し、堀の向こうへ行ってしまった。
窓が、誰かの手で静かに閉まっていく。

寮3階、二人部屋の窓(外側から)

「マジかよ。」
私の後ろで視ていたマーズちゃんが、血の気がない顔でつぶやく。
「俺、隊長(私)があのドアにこだわった訳がわかりましたよ。2匹いたんすね。」とアオバ
「うん・・・。」
「2匹も・・・・・。」とヨシツネ
「1匹だと思い込んでましたね。」と副隊長
「うん、あのまま気にしないままにしておくと、後の方で大変なことになってた、かもね。」と私
「でも、ドアにこだわっただけじゃ難しいだろ?」とマーズちゃん
「それでも気にした方が良い。何かのきっかけで、わかるかもしれないし。何も気にしないよりは、2匹いるって知った時のショックは違うと思う。」
「確かにな。」
部下たちもうなずいている。藍白やタガメ、鎧姿のアーサーたちも私たちの話をきいている。

「澪ちゃん! 来て!」
オフィーリアが、中庭の方から駆けて来る。その後ろには、ナナとミミがいる。
藍白とタガメが、いち早く駆け出した。
「次は、あのイモ虫か!」
マーズちゃんがつぶやき、その場にいる全員が渡り廊下の方へと駆け出す。

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校舎を見上げると、ダブルベッドほどもある大きなライガが、校舎内で暴れまわっており
カーテンや壁が血に染まっていく。

校長先生や寮から出て来た第二都市の人たち、女神たちと部下たちは真っ青な表情で、その様子を見上げている。
姫子さんが、たまりかねた様子で
「どうにか、できないんですか?」と、私にきいてくる。
私はうなずき
「これは、一昨日(オトツイ)、起こったことを再現しているだけなんです。つまり幻覚です。」
ええー?! 
女性たちが声を上げ、再び校舎に目を向ける。
私も、ライガがどっちの方向に逃げていくのか、注意深く見守る。

やがて、あれだけ聞かれていた悲鳴が聞かれなくなっていく。

(だめだ! 見失う)アーサーさんたちは、運動場の方でどこに逃げるか視てもらえますか?」
はい。
アーサーたちが下駄箱の方へと駆けて行く。ルナも後ろからついて行く。
「私たちも行くわ!」
フローラとその部下たちも駆け出した。
「マーズちゃんは、あっち!」
私は、職員や来客用の出入り口を指差す。
「了解!」
マーズちゃんとその部下たちが駆けて行く。
「私たちは中へ。」
はい!
私の部下たちが一斉に返事をし
「僕たちも行きます。」
藍白とタガメも校舎内へと入った。

幻覚は学校内で、”絶賛” 続行中です。
次回は、2匹目のライガの行った場所を探して、学校内を巡ります。

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(c)虹色らいん - イラスト素材 PIXTA -

次回
第18章ー第二都市(学校)
2,「いませんね。」

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